研究課題
ヒト化マウス内のHIV-1感染細胞に発現するマーカーを見出すために、1細胞RNAシークエンスデータを再度解析した。亜集団(クラスター)1、2、3、4、8の発現遺伝子として、クラスター1 にはTh1細胞(高IFNG、高GZMA、低CCR7と低SELL)、クラスター2には活性化CD4+ T細胞(高HLA-DR、高PDCD1)、クラスター3にはナイーブCD4+ T細胞(高CCR7、高SELL、低CTLA4、低HLA-DR、低IFNG)、クラスター4にはTfh細胞(高CXCL13、高TNFSF8、高SH2D1A、高BTLA)、クラスター8にはTreg細胞(高CTLA、高TNFRSF1B、高TIGIT、高TNFRSF18)の特徴があった。クラスター4での効率的なHIV-1の複製にCXCL13が直接関与するかを明らかにするためにCXCL13の受容体CXCR5を発現するCD4+ T細胞株を調製し、感染後にCXCL13を添加したが感染増強は見られなかった。CXCL13には感染増強はないがHIV-1を効率よく産生する細胞のマーカーであることが示唆された。HIV-1発現とヒトゲノムへのプロウイルスの挿入部位との関連性の解析実験として、隣接配列を増幅するPCR法により全HIV-1プロウイルスを解析したところ、CD4+ T細胞におけるヒストン修飾のクロマチン免疫沈降データとの照合解析から、組込み部位はH3K27ac、H3K36me3、H3K4me1/3などの活性化ヒストン修飾の領域に集積していたが、発現抑制のヒストン修飾であるH3K27me3およびH3K9me3領域への組込み数は少なかった。これらの結果は、多くのウイルスの組込みが遺伝子発現領域に生じ、ウイルス発現と関連していることを示唆している。一方、転写の方向性に関しては、順方向と逆方向への組み込まれたプロウイルスの頻度ほとんど同じであった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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