本研究は、個体から個体へのウイルス感染伝播の防御機序の解明をテーマとし、主要な感染伝播経路である経粘膜感染のうち、粘膜上皮細胞に感染せず粘膜上皮バリアを通過する代表的ウイルスであるHIV・SIVについて、経粘膜感染防御過程を明らかにすることを主目的とした。感染初期の直腸粘膜局所のSIV増殖過程を解析する系を構築し、我々の開発したワクチンの接種サルにおいて、SIV経直腸チャレンジ後数日間の直腸粘膜でのSIV増殖抑制を示唆する結果を得た。本研究成果は、HIV粘膜曝露後初期の全身感染成立前における粘膜下局所のワクチン誘導免疫によるウイルス増殖制御過程解明に貢献するものとして重要である。
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