今後の研究の推進方策 |
本年度は、Treg特異的Ikzf1機能変異マウス由来のTregのbiologyを中心に解析を行う。 具体的には、まずTregの機能維持 (安定性) に重要とされるTreg特異的脱メチル化領域 (TSDR) のDNA脱メチル化パターンに関して、Bisulfite-Seq解析を行い、Ikzf1のTreg安定性に及ぼす影響を確認する。次に、Tregの免疫抑性機能に及ぼす影響を検討するために、変異マウス由来のTregを用いてRNA-Seqを行うことでFoxp3, CTLA-4, CD25, GITRなどのTregによる免疫抑制機能に重要な分子の発現を網羅的に解析する。加えて、変異マウスからCD4+CD25+ Tregを精製・単離し、CD4+CD25- Tconvと共培養することでin vitroで増殖抑性能の評価を行う。また、同様に単離したCD4+CD25+CD45.2+ TregをRAG2欠損マウスにCD4+CD25-CD45.1+ Tconv細胞と共移入し、その後に発症する大腸炎の症状を解析することで、in vivoでの免疫抑制能も評価する。 次に、Ikzf1によるTreg制御のより詳細な分子メカニズムの解明にも取り組む。Ikzf1を含むFoxp3複合体は標的遺伝子付近のプロモーターやエンハンサー領域に結合し、Treg特異的なエピゲノム形成を介して遺伝子発現を制御することが知られている。そこで、Ikzf1がFoxp3のゲノムDNA結合およびTreg特異的なエピゲノム形成に及ぼす影響を検討するため、変異マウス由来のTregを用いてFoxp3のChIP-Seq、さらにTreg関連遺伝子座のクロマチン状態およびヒストン修飾状態をATAC-SeqおよびChIP-Seqによってそれぞれ全ゲノムレベルで網羅的に解析する。これにより、Ikzf1によるTreg機能制御機構の解明を試みる。
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