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2021 年度 実績報告書

エンハンサーによる多次元的制御能を標的としたCTL賦活化リプログラミング

研究課題

研究課題/領域番号 21H02756
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

関谷 高史  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 免疫応答修飾研究室長 (80519207)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード免疫学 / 抗腫瘍免疫 / 細胞リプログラミング / エピジェネティクス
研究実績の概要

① 複数種類のT細胞に対し、ヌクレアーゼ高感受性ゲノム領域gRNAライブラリーの作製を完了した
当該年度の研究ではまず、1.疲弊化CD8T細胞 2.活性化CD8T細胞 3. 制御性T細胞(Treg)から取得したヌクレアーゼ高感受性ゲノム領域DNAに対してgRNAライブラリーの作製を行った。作製したライブラリーをNGS解析した結果、それぞれ数百万から数千万ヶ所を網羅したgRNAライブラリーの作製を完了した。
② 疲弊化CTLレポーター細胞株、Tregレポーター細胞株をそれぞれ新たに一種類ずつ作製した
疲弊化CTLレポーター細胞株として、当初スクリーニングに用いる予定であったEL4-IL2-GFP細胞株はgRNAライブラリーを構成するレトロウイルスベクターの感染効率が非常に低いことが判明したため、レトロウイルス感染効率が高いことを確認しているBW5147細胞をベースにしたレポーター細胞株の構築を行った。BW5147もEL-4と同じく疲弊化マーカー分子の高発現を示す。レポーター細胞株の作製はCRISPR/Cas9システムを用いて行い、相同組み換えによりIL2遺伝子座にGFP分子、Rosa26遺伝子座にヌクレアーゼ活性欠損Cas9(dCas9)とクロマチン活性化ドメインVPRもしくはクロマチン不活性化ドメインKRABの融合分子を導入したBW5147細胞株を作製した。また、Foxp3遺伝子座にハイグロマイシン耐性遺伝子とGFPを挿入したTregレポーター細胞株も同様の手法で作製した。
③ レポーター細胞株を用いたgRNAスクリーニングを開始した
上記①で作製したgRNAライブラリーと②で作製したレポーター細胞株を用い、それぞれIL-2遺伝子発現の誘導とFoxp3遺伝子の発現誘導を指標に、疲弊化CTLを賦活化するエピジェネティック操作とTregを誘導するエピジェネティック操作の探索を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画では、既にスクリーニングの大部分が完了し、候補因子が複数同定されている予定であるが、上記の通り現時点ではスクリーニングは序盤の段階にある。その主な原因の一つはスクリーニングに用いることを予定していたEL4-IL2-GFP細胞株のレトロウイルス感染効率が低かったことであるが、上記の通り、代替えとして用いているBW5147-IL2-GFP細胞株の作製は完了し、高いレトロウイルス感染効率を示しているため、トラブルシューティングは解決した状態にある。
一方、gRNAライブラリーの作製に関しては、疲弊化CD8T細胞、活性化CD8T細胞両方に関し、数百万から数千万ヶ所のヌクレアーゼ高感受性部位を網羅したライブラリーの作製を予定通りに完了したうえ、当初の予定に加え、Treg細胞のヌクレアーゼ高感受性部位を網羅したライブラリーの作製も完了した。
以上の当該年度に得られた成果と当初の研究計画を照らし合わせ、「やや遅れている」という評価が妥当であると考えられる。

今後の研究の推進方策

まず、疲弊化CTLレポーター細胞株を用いたgRNAライブラリーのスクリーニングにより、CTL疲弊化マーカーPD-1の発現低下及び活性化マーカーIL-2の発現誘導に寄与するゲノム領域の同定を試みる。細胞株はヌクレアーゼ活性欠損Cas9(dCas9)と転写活性化ドメインVPRの融合分子(CRISPRa)を発現するものと、転写不活性化ドメインKRABの融合分子(CRISPRi)を発現するものの2種類を用い、疲弊化を促進するエピジェネティック修飾と疲弊化に抵抗性を付与するエピジェネティクス修飾の両方の同定を試みる。陽性細胞からのgRNAの取得→再スクリーニング のサイクルを繰り返すことによる陽性クローンの濃縮後、クローンを次世代シーケンシングにより同定する。
また、以上のスクリーニングと並行し、CRISPR/Cas9システムによるエピジェネティック操作を生体内で行うことができる遺伝子改変マウスの構築を進める。このマウスは、CRISPRaもしくはCRISPRiを発現し、さらにCTLの活性化マーカー・IFNgのレポーター活性も有する。さらに、特異抗原のニワトリ卵白アルブミン(OVA)を認識するOT-I T細胞受容体を発現し、OVAを発現する腫瘍細胞を認識するT細胞を特異的に産生する。以上構築されたマウスは、OVAを発現する腫瘍細胞の移植によるCTLの疲弊化誘導のみならず、gRNAを導入することによるエピジェネティック操作も可能とする。この、CRISPRa,CRISPRi-IFNgGFP-OT-Iマウスを交配により構築する。
続いて、スクリーニング陽性となったgRNAを、上記作製したCRISPRa,CRISPRi-IFNgGFP-OT-Iマウスから取得したCTLにウイルスベクターを用いて導入した後、OVAを発現する腫瘍細胞の担癌マウスに移入し、CTLの疲弊化に対する影響を解析する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Comparison Between Nr4a Transcription Factor Regulation and Function in Lymphoid and Tumor Treg Cells2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Sekiya
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: in press ページ: -

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.866339

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Essential Roles of the Transcription Factor NR4A1 in Regulatory T Cell Differentiation under the Influence of Immunosuppressants2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Sekiya, Hidenori Kasahara, Ryo Takemura, Shinya Fujita, Jun Kato, Noriko Doki, Yuta Katayama, Yukiyasu Ozawa, Satoru Takada, Tetsuya Eto, Takahiro Fukuda, Tatsuo Ichinohe, Minoko Takanashi, Makoto Onizuka, Yoshiko Atsuta, Shinichiro Okamoto, Akihiko Yoshimura, Satoshi Takaki and Takehiko Mori
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology

      巻: in press ページ: -

    • DOI

      10.4049/jimmunol.2100808

    • 査読あり
  • [図書] Nr4aによるTh/Tregのバランス制御と炎症性疾患2021

    • 著者名/発表者名
      関谷 高史
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      先端医学社

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公開日: 2022-12-28  

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