研究実績の概要 |
① 疲弊化CTLレポーター細胞株、Tregレポーター細胞株をそれぞれ新たに1種類ずつ作製した 後述する通り、前年度までの研究で作製したレポーター細胞株(BW5147・CRISPRa/i-IL2-GFP, BW5147・CRISPRa/i-Foxp3-GFP, BW5147・CRISPRa/i・IFN-g-GFP)を用いたスクリーニングにより、CTLの疲弊化マーカー・PD-1、賦活化マーカー・IL-2やIFN-gの発現、およびTregマーカー・Foxp3の発現制御に寄与するクロマチン候補領域を複数見出し、解析を進めているが、遺伝子制御部位のより直接的な欠損の効果を解析するため、CRISPR-KI・Foxp3-KI-IFN-g-GFPマウスから取得したプライマリー・疲弊化CTLおよびTh1細胞とBW5147細胞を融合した、新たなレポーター細胞株をPEG法により作製した。 ② 疲弊化CTLやTh1細胞のフェノタイプに寄与しているクロマチン領域を複数見出し、プライマリーT細胞の部分的なリプログラミングに成功した 前年度までの研究でレポーター細胞株を用いたスクリーニングにより見出した、疲弊化CTLにおけるPD-1発現誘導やTh1細胞でのFoxp3発現抑制に寄与しているクロマチン候補領域のエピジェネティック改変を、dCas9ノックインマウスから取得したプライマリー細胞に対して試みた。その結果、複数の遺伝子領域において、そのエピジェネティック操作により、疲弊化CTLでのPD-1発現の抑制とIL2やIFNgの誘導、およびTh1細胞におけるFoxp3発現の誘導が、一部の細胞で確認された。以上、本研究により、CTLの疲弊化や、エフェクターT細胞におけるTreg遺伝子の発現抑制の鍵を握る遺伝子領域が複数見出され、さらにそれら領域の操作によりプライマリ細胞のリプログラミングを導けることが明らかとなった。
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