研究課題
Indoleamine 2,3 dioxygenase 1 (IDO1)は、tryptophanをkynurenine (Kyn)に代謝する酵素である。Kynの増加は細胞障害性T細胞の活性低下と制御性T細胞の活性化を促す。すなわち、IDO1は腫瘍免疫を介して腫瘍増殖を亢進させると考えられる。研究代表者らは、Colon26 マウス大腸癌細胞株を用いた実験でIDO1阻害剤(1-methyl-tryptophan: 1-MT)を投与すると用量依存性に細胞増殖が抑制されることを示した。また、1-MTと放射線照射併用群は放射線単独群と比較し有意に細胞増殖を抑制した。IDO1阻害による細胞内の生化学的変化とその他の腫瘍抑制メカニズム解析を目的として、1-MTおよび放射線照射を行ったColon26細胞株およびColon26由来のin vivo腫瘍からサンプルを採取しメタボローム解析を行い、関連する追加の実験を行った。1-MTは放射線照射との併用でNAD を極端に減少させた。これはNADのde novo合成を阻害し、細胞内における酸化ストレスを放射線照射単独の場合よりも増強させDNA損傷修復が遅延する可能性やredoxシグナルの変化によって浸潤転移能を抑制する可能性が示唆する。実際にColon26細胞では1-MTと放射線照射によってアポトーシスを増強することが確認され、また1-MT単独投与がヒト大腸癌細胞株DLD-1のwound scratch assayでのhealingやmigration能力(Boyden chamber assay)を抑制し、これらにE-cadherin発現上昇およびVimentin, Snail, Slug発現低下を伴うことが示された。上記はNADを標的とする大腸癌の治療戦略が有効であることを示す知見である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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