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2021 年度 実績報告書

安静時fMRIにおける機能・生理情報分離と生理的fMRI創出可能性についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 21H02800
研究機関東北福祉大学

研究代表者

小川 誠二  東北福祉大学, その他, 名誉教授 (00358813)

研究分担者 成 烈完  東北福祉大学, 感性福祉研究所, 准教授 (30358816)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードresting state fMRI / metabolic components / pituitary gland / hypothalamus / physiological condition
研究実績の概要

安静時 fMRI 信号から脳神経活動を反映する成分と脳代謝など生理信号に関わる成分とを分離することは安静時fMRIが登場した2000年序盤からの願望であったが、fMRI信号の信号発生メカニズム上、これらを分離するためには複数のMRI測定法での計測が必要であること、また、その場合でも異なる測定法間の信号特性違いなどの問題もありそれを実現することはできなかった。本研究では、安静時 fMRI 信号を分離することにより、機能特有の活動信号による脳機能評価への期待、安静時fMRI 信号の持つ信号要素のうちに脳の生理条件に影響されるものがベイシックなエネルギー代謝や解剖学的構造を形作る水の物理・化学的な磁気共鳴特性等で見いだされるとする期待、を実証しようとすることを目的に研究を遂行している。研究開始初年度である本年度は、呼吸、心拍などグローバル生理ノイズの除去の影響評価と生理条件特有の成分の分離抽出を行うために脳下垂体からの信号抽出を行った。具体的には、ノイズ除去の効果において、同一被験者から一か月以内の短期間で複数回撮像を行い、機能画像撮像時に同時に収集した呼吸信号と心拍信号除去後の機能ネットワークの再現性を調べ、機能ネットワーク特性値の定量化を試みた。生理条件特有の成分の分離抽出においては、脳下垂体からの安静時fMRI信号を用いた分離抽出を試みた。3.4x3.4x3.4mm^3の分解度機能画像から信号抽出を行うために、解剖画像をもとにしたマスクの作製を行い、信号を抽出し波形など信号の特性を評価した。また、分解度を約5倍上げ、分解度2x2x2mm^3 の機能画像からマスクを使用せず直接脳下垂体内のvoxelから信号を抽出し、信号特性評価を行った。さらに、代謝特有の信号特性を利用して代謝関連成分を同定するために、波形の幅情報を用いたフィルタの考案を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

COVID19の影響でMRI実験が計画通りにはできなかったがノイズ除去方法の実現、評価ができた。機能ネットワークの評価における複数尺度での再現性を調べた結果、functional connectivity と Regional Homogeneityではグローバルノイズの除去で再現精度の向上が確認できた。また、代謝関連成分を同定のために、脳下垂体のマスク作製法を考案し、作成したマスクをもとに安静時fMRI信号の抽出ができた。

今後の研究の推進方策

視床下部、脳下垂体の生理条件変化をあらわす安静時 fMRI 信号を参照してMRIパラメータに関連する信号成分を分離することで、呼吸、心拍などグローバル生理ノイズの除去後の安静時 fMRI 信号から、機能特有成分(動的な信号)と時系列信号測定の時間内で変動のほとんど無い代謝成分、それらを調節する生理条件特有の成分との分離抽出を行う。そのため、次のように研究を実施する。1)MRI計測時の被験者の各種生理条件変化(呼吸、心拍、体温など)の計測を行う。これらの信号と安静時fMRI信号との相関をとり、信号分離を行う。2)脳下垂体のダイナミックな信号に相関するものは内分泌系による生理変化を顕現すると考えられるので、R2*_BOLDに関わるものはエネルギー代謝に関連する成分、R2*-nonBOLDとEchotime に独立なものは他の生理的変化に関わる成分として成分分離を行うことでエネルギー代謝に関連する成分抽出を行う。3)前年度に考案したEPI画像における脳下垂体のマスク作製法に加え、視床下部のマスク作製法を考案する。4)覚醒、睡眠のような内因的な生理条件下での安静時 fMRI 信号収集による分析とともに外因的な生理条件変化のもとでの信号収集による分析をも行う。カフェインは視床下部-下垂体-副腎系のホルモン分泌に影響を与えることが知られている。また、覚醒度を上げることも知られており、血管の収縮によりfMRI信号応答を早くすることも知られている。このようなカフェインの効果は量によって変わるが、コーヒーの摂取によっても効果は小さいが影響があるとの報告もある。そこで、コーヒーの負荷時の安静時 fMRI 信号による成分分離を試みる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Influence of measurement and processing conditions of resting state fMRI on functional connectivity2022

    • 著者名/発表者名
      Sung Y., Ogawa S.
    • 雑誌名

      Annual report of Kansei Fukushi Research Institute

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An approach for removing artifacts from resting state fMRI signals.2022

    • 著者名/発表者名
      Sung Y., Ogawa S.
    • 雑誌名

      Annual report of Kansei Fukushi Research Institute

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Brain plasticity reflects specialized cognitive development induced by musical training2021

    • 著者名/発表者名
      Choi U.-S., Sung Y. Ogawa S.
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex Communication

      巻: 2 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1093/texcom/tgab037

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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