| 研究課題/領域番号 |
21H02803
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
佐々木 亮 京都大学, 医学研究科, 助教 (70817931)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 意思決定 / オプトジェネティクス / 大規模神経活動デコーディング / マカクサル / 報酬とリスク |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、神経回路ネットワークのダイナミクスがどのように戦略的に切り替わり意思情報を統合していくかの脳機能を解明することを目的としている。具体的には、マカクサルを用いて報酬とリスクをバランスよく獲得するための戦略的な意思決定の神経回路機構を、最新の光遺伝学的手法による神経回路選択的操作と、大規模神経活動記録による計算論的デコーディング解析を同時に組み込むことで明らかにする。
光技術の脳への影響を時空間的に高解像度で精密に捉えることが必須であるため、本年度は、脳深部型の針電極により周波数解析にとどまらない細胞活動レベルでのデコーディング解析を確立した。具体的には、vlPFC及びOFC、前帯状皮質 (dACC)、VTAの神経細胞集団の活動からのデコーディング解析が、サルの意思決定パターンをどの程度、説明可能か検討した。各領野別に解析を行い、それぞれの脳領野が持つ意思決定への役割を検討した。次に、各脳領野から同時記録した全神経活動を用いて、サルの意思決定を推定するデコーディング解析法の確立を試みた。それぞれの脳領野間相関及び相互ゲインも考慮し、４脳領野間での階層的デコーディング解析による脳領野間のネットワークとしての役割について検討した。更に、高いデコーディング精度を得るため、各領野間の相互情報伝達ゲインを検討した。このように、サルの意思決定のタイミングと脳領野間の何処の経路が特異的に相互に変動するかを検討することで、ダイナミックな脳の統合処理過程の解明に迫った。また、初年度の脳表型LEDによる光刺激では、脳深部における活性化が不可能であったため、2022年度は、針型の深部型LED光刺激デバイスを導入し、脳表だけでなく脳深部も含めた多領域での光遺伝学的操作を行なった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に沿った進捗度が達成できている。前年度に、大規模ニューロン記録装置を導入し、解像度の高い解析が可能となったことを踏まえて、複数領野の同時記録を達成したことから、本年度は領域間の光刺激伝播誤差や相互相関などを検討することができた。このことは、本研究の目的であるサルの意思決定のタイミングと脳領野間の何処の経路が特異的に相互に変動するかの検討、およびダイナミックな脳の統合処理過程の解明に迫るための飛躍的な一歩となっているため、概ね順調に進展していると考える。
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| 今後の研究の推進方策 |
オプトジェネティクス実験を遂行しながらVTA及びvlPFCの神経活動を同時記録し、デコーディング解析を行うことで、VTA-vlPFC経路特異的な活性化がデコーディング精度に及ぼす影響を検討し、VTA-vlPFC経路特異的な意思決定への関与を明らかにする。また、vlPFC、OFC、dACC、VTAを同時記録しながら各領野を光刺激し、ある経路の活性化がその他の経路に及ぼす影響を検討することで、各脳領野間の相互の役割を理解し、その神経回路ネットワークが時々刻々の戦略的意思決定段階においてどのように変容するかを検討する。具体的には、新規にHH-LL課題を訓練した３頭目のサルを用いて、まずはVTA-vlPFC経路を選択的に光刺激しながら多数神経活動記録を行う。VTA-OFC経路およびVTA-dACC経路においても同様の実験を遂行する。光刺激ありと光刺激なしでの多数神経活動からのデコーディング解析の精度を比較することで、VTA-vlPFC経路、VTA-OFC経路およびVTA-dACC経路の意思決定へのそれぞれの役割を明示し、各神経回路のデコーディング精度を比較する。その上で、４領域を同時記録しながら各領野を光刺激し、ある経路の活性化がその他の経路に及ぼす影響を検討することで、各神経回路が相互に意思決定に及ぼす役割を明らかにし、それぞれがネットワークとして意思決定に与える機能的意義についての結論を得る。同実験を４頭目のサルでも遂行し、本結論の確証を得て論文を執筆する。
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