研究課題/領域番号 |
21H02815
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
櫻井 隆 順天堂大学, 医学部, 教授 (70225845)
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研究分担者 |
内山 安男 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (10049091)
岩田 淳 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40401038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / βアミロイド / 小胞輸送障害 / オートファジー |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病の主要病理の1つである老人斑の近傍では、軸索を中心とする神経突起中の小胞輸送障害により膨化した変性神経突起が生じる。末梢へのシナプス関連タンパク質・脂質輸送障害やオートファジー異常により神経機能障害をきたすと考えられるが、その発生メカニズムの詳細や病態への関与は明らかでない。本研究ではin vitroで老人斑を再現し神経突起変性の過程を経時的に観察可能なモデルを用いて、小胞輸送障害の機序、病態との関連を明らかにすることを目指している。 本年度は、in vitroで老人斑を再現するモデルの条件検討とイメージング解析に適した改良を前年度に引き続き進めた。海馬スライスにAβ凝集の核となるシード、培地に化学合成ヒトAβペプチドを添加することにより、スライス上に老人斑類似のAβ凝集体を形成させるモデルであるが、変性神経突起形成初期に蓄積する小胞輸送タンパク質の抗体染色を用いて、効率よく、より短期間に小胞輸送障害を惹起する条件の検討を進めた。その結果、1週間から10日程度でAβ凝集体周囲に小胞輸送障害を引き起こす条件を見出した。さらに、光-電子相関顕微鏡法(CLEM)により変性神経突起の微細構造を電子顕微鏡により観察するため、シードの標識を行い、CLEMによる観察を進めている。 神経回路に沿って特定の神経細胞集団の軸索における小胞輸送障害の経時的変化をリアルタイムで観察するため、凝集シードとその添加方法、Aβ凝集体のライブ染色、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)による蛍光タンパク質発現などの条件検討も進めた。その結果、マイクロインジェクション部位の軸索に変性を引き起こすことが可能となった。得られた成果をもとに、特定の神経回路における小胞輸送の経時的変化と病態との関連解析、阻害薬やRNAiによる発現抑制を用いた輸送障害メカニズムの解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載の通り、Aβ凝集の核となるシードの改良を更に進めることにより、海馬スライスのAβ凝集体周囲に小胞輸送障害をより早期に効率よく引き起こす条件を見出すことができた。シードのインジェクションや神経細胞の組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)による標識条件検討の成果をもとに、Aβ凝集体の蛍光ライブ染色とあわせて、小胞輸送のリアルタイム解析が可能な状況となっている。さらに、凝集シード、AAV注入の条件検討を進めることで、Aβ凝集体と関連づけた特定の神経回路における小胞輸送の経時的変化の観察と障害発生のメカニズムの解析を予定通り進めることが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者と協力し、培養海馬スライスモデル系における光学顕微鏡レベルでのシードまたはマーカータンパク質の局在と関連させて電子顕微鏡による輸送障害小胞の微細形態観察をさらに進める。輸送を制御するキナーゼ、Aβ凝集体にかかわるグリア細胞の薬物による阻害や遺伝子レベルでの操作等を行うことにより、小胞輸送障害のメカニズム、シナプス機能への影響について解析を行う。また、モデルマウスおよびアルツハイマー病脳組織の抗体染色により、マーカータンパク質の変性神経突起への蓄積過程について解析を進め、これらの情報をもとに上記実験計画の修正、改善を行うことで、病態に関連した解析を効率よく進める予定である。
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