以下を明らかにした.(1)短時間の局所炎症は腕傍核-扁桃体系の活性化と可塑的変化を誘発し,(2)この変化は,痛覚変調性疼痛である長期持続性の広汎性痛覚過敏を引き起こす.(3)腕傍核-扁桃体中心核ニューロン間の興奮性シナプス伝達はオピオイドによってシナプス前性に顕著に抑制される.オピオイド鎮痛薬の主標的であるともに,痛みの遅発性の慢性化を予防しうる可能性がある.(4)全身性炎症の初期相において,内因性オピオイドによるシナプス伝達抑制が生じ痛覚過敏が抑えられる可能性がある.侵害受容器の活性化とともに生じる炎症系の活性化は,腕傍核-扁桃体系の活性化を通じてその後の慢性的な痛覚過敏の成立の鍵を握る.
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