脳損傷後に神経修復が起こり、脳機能がある程度回復することは知られていたが、ど のような分子メカニズムによって神経修復が開始されるのかは不明であった。本研究は脳梗塞後に産生される脳 修復的な脂肪酸代謝物ジホモγリノレン酸や15-HETrEが神経修復の引き金となり、PADI4によるヒストンのシト ルリン化を介して修復遺伝子の発現を誘導する事を証明した。DGLAや15-HETrEの投与によって脳梗塞モデルマウ スの神経症状を改善することができたほか、同等の修復機転が脳梗塞患者の脳組織においても観察された。脳修 復的な脂質を摂取することで脳卒中後の機能予後を改善する新規治療法への応用が期待される。
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