研究課題
高齢社会が進む我が国において、生活習慣病・慢性炎症に対する予防・早期治療介入する治療ツールとして、年に数回の長期作動型治療ワクチンは将来の治療オプションとなり得る。加えて、老化細胞から炎症性サイトカインなどが分泌されることで、周辺の細胞に悪影響を与え組織老化を促進する現象(SASP:老化関連分泌現象)に着目し、老化細胞を除去する治療(Senolysis)にワクチンを活用する新しい治療コンセプトも提唱する。本研究の基盤技術である治療ワクチンは抗体治療であり、抗体のエフェクター機能(ADCC活性、CDC活性、オプソニン化)による標的細胞への攻撃・除去作用を活用することにより、Senolysisの治療ツールとしての可能性を考えた。標的細胞として、心臓の線維化に関連するFAP(fibroblast activating protein)発現に着目した。FAP陽性の繊維芽細胞は肥大心や不全心に特異的に発現し、周囲の細胞や臓器の線維化を促進することが報告されている。そこで、FAPを標的としたワクチン療法を立案した。マウス心肥大モデル(アンジオテンシンIIおよびフェニレフリン持続投与)におけるFAPワクチンの治療効果の検討を行った。FAPの部分ペプチドを抗原とするワクチンを設計し、2週間間隔で数回ワクチンを投与することにより、FAP特異的な抗体上昇を確認した。薬効試験で、FAP陽性細胞と心線維化の減少を確認した。FAP陽性細胞は、傷修復過程でも一過性に発現し、傷修復を促進する役割があることから、FAPを標的としたワクチンを投与した後で、マウス皮膚損傷モデルおよび心筋梗塞モデル作成後の組織修復に影響がないことも確認した。また、このような抗体誘導型ワクチンの祈願技術として濾胞性T細胞に着目し、その活性化による持続的かつ選択的な抗体産生を実現するための研究開発に取り組んだ。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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NPJ Vaccines
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10.1038/s41541-023-00770-3
Tohoku J Exp Med.
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10.1620/tjem.2023.J076