研究実績の概要 |
申請者らは、血管内皮細胞にアミノ酸数の異なるAPP770が発現することを見出した(J. Biol. Chem. 285, 40097, 2010:申請者が筆頭著者)。そして、これまでAD研究に携わってきた経験(EMBO Mol. Med. 15, 175, 2015:申請者が責任著者)を生かして血管内皮型APP770発現マウスを作出し、脳内血管に Aβが蓄積することを確認した(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. under external review)。一方で、切断されたsAPP770は血小板に多量に含まれ、凝固阻害活性を持つことや血管内皮障害のマーカーとなり得ることを見出した(J. Biol. Chem. 287, 40817, 2012:申請者が責任著者;J. Biol. Chem. 295,13194, 2020:申請者が責任著者; 特許番号6093943)。本研究では、モデル動物や臨床検体を用いて血管内皮型APPのAD発症に果たす病的役割、血液凝固の阻害機構、血管内皮障害マーカーとしての有効性を明らかにすることを目的とした多面的研究を展開する。 2023年度は、高齢化したEC-APP770+:AppNLF/NLFおよびAppNLF/NLFマウス脳を生化学的に比較解析し前者にAb40が蓄積すること、これを抗Aβ抗体でエンリッチ出来ることを明らかにしたので、今後このAβの性状解析を進めていく。また、血管内皮型APP770が血管内皮細胞の細胞外小胞に含まれ、細胞から分泌されるsAPP770と異なる糖鎖修飾を受けていることも明らかにした。
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