研究課題/領域番号 |
21H02834
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
荒井 秀典 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 理事長 (60232021)
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研究分担者 |
山田 実 筑波大学, 人間系, 教授 (30525572)
松井 康素 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ロコモフレイルセンター, センター長 (50501623)
佐竹 昭介 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (50508116)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サルコペニア |
研究実績の概要 |
我々は2018年より地域在住高齢者1,260名を対象に骨格筋に主眼を置いたコホート研究(MUSCLE study)を開始している。このコホート研究では、AWGS2014および2019、J-CHSの判定に必要となる各測定項目を網羅しており、これらの比較検証が可能となっている。本研究では、このコホートデータをベースに、パネル調査および追跡調査を実施し、骨格筋の状態変化や各種アウトカムとの関連性を検討することを目的としている。 2021年はパネル調査を実施した。コロナ禍での開催となったため、参加数の確保が困難であったが、428名のデータ計測が完了した。このデータを基に、2022年度以降にサルコペニアの累積罹患・重症化、骨格筋機能低下に関係する要因を検証する。特に、元来より重視されている運動と栄養については交絡要因として扱い、各種疾患と薬剤に焦点を当てた分析を実施する。MUSCLE studyでは、一般的に計測されることが多い体組成計による骨格筋量や筋力のみならず、全例に超音波画像測定を実施できている。この測定によって、大腿前面中央部の筋厚(筋量の指標)および筋輝度(筋質の指標)を算出する。2021年でデータ計測を終えたたため、2022年にこれらの分析を行う。ベースライン時より、これらの指標がどのように変化するのか、どのような因子の影響を受けるのか検証を行う。 MUSCLE studyをベースに追跡調査を実施した。この追跡調査では、転倒、骨折、入院、要介護、死亡などの有害健康転帰をアウトカムとし、ベースライン時の骨格筋特性がその後の有害健康転帰に及ぼす影響について検討した。追跡可能であった高齢者を対象に、転倒発生について分析を実施した結果、サルコペニアが転倒の発生に関係していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年にベースライン調査を実施したコホート研究(MUSCLE study)のパネル調査および追跡調査を実施した。パネル調査は郵送調査と身体機能測定の二段階となっており、ベースライン調査ではそれぞれ4169名と1260名を登録している。2021年に実施したパネル調査では、郵送調査に2537名、身体機能計測に428名が参加した。追跡調査は、自治体が把握している情報と郵送調査の2通りの方法で実施した。自治体が把握可能な要介護発生や死亡については全例把握できている。 身体機能のパネル調査はコロナ禍での開催となったため、参加者の確保が困難であったが、フィールドとなっている自治体職員の協力のもと、428名の参加を得た。3年間の追跡期間の中、死亡された方が36名、要介護状態となった方が60名存在した。予定していた参加者よりは下回ったものの、3年間の骨格筋の変化などについては十分に検討可能なサンプルサイズであると考えている。 当初より2021年にこれらの調査を実施することを計画しており、前述のようにコロナ禍ではあったものの、最低限必要な情報の収集が行えた。2022年度は、これらの情報の解析を進め、骨格筋の状態変化やアウトカムとの関連性について検討する。3ヵ年のスケジュールの中で、最も難航すると思われていたパネル調査を当初の計画通り1年目に遂行できたたため、研究の進捗としては概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、2021年度に取得したデータの解析を中心に行うとともに、レセプトデータの分析を行う。また、追跡調査も引き続き実施する。
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