研究実績の概要 |
タウオパチーは、アルツハイマー病を含む一群の疾患で、タウと呼ばれる微小管結合タンパク質が細胞内に異常蓄積することが特徴です。私たちは、国内最大のタウオパチーゲノムリソースを解析し、低頻度のミスセンス変異を含む潜在的な病因遺伝子を特定しました。この成果を基に、タウオパチーの病態メカニズムを明らかにすることを目的としています。
疾患発症の遺伝的背景を探るため、ショウジョウバエを用いた視神経軸索の変性とシナプス喪失をモニタリングする実験モデルを確立しました。このモデルでは、MeDUsAという機械学習解析プログラムを使用して、変異の影響を自動で定量化することに成功しました(Nitta et al., Hum. Mol. Genet. 2023)。また、タウオパチーに関連するリスク遺伝子の機能を探るため、ショウジョウバエでの遺伝子の過剰発現実験も行いましたが、顕著な差異は見られませんでした。
タウオパチーのリスク遺伝子の他、希少疾患における原因遺伝子変異の発見や病態モデルの開発に成功しています(Itai et al., Sci. Rep. 2023; Yamada et al., Euro. J. Med. Genet. 2023; Nitta et al., eLife preprint review)。これらの成果は、神経変性疾患の理解を深めるための貴重な知見を提供しており、ショウジョウバエを用いた研究の有効性を示しており、総説も発表しました(Niita and Sugie, Fly 2022)。
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