研究課題/領域番号 |
21H02842
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高嶋 博 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80372803)
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研究分担者 |
樋口 雄二郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10867724)
安藤 匡宏 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (60896976)
橋口 昭大 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70760560)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Charcot-Marie-Tooth病 / 遺伝性ニューロパチー / ゲノム解析 / 遺伝子診断 / 末梢神経 |
研究実績の概要 |
我々は、2007年から世界でもトップレベルの包括的なCMTの遺伝子診断を継続して提供し、2021年度には、総計2598名のCMT病包括的遺伝子診断を行い、30.3%の患者において遺伝的な原因を決定した。世界最高水準の規模である。(J Hum Genet, 2022に報告) 加えて、継続して世界でもトップレペルのCMTや関連ニューロパチーの論文を作成し、臨床像や病態メカニズムを明らかにしてきた。 本年度も、遺伝子診断は順調に行われ、具体的にはIon PROTONシークエンサーを用いて72の原因遺伝子をファーストスクリーニングの遺伝子として選択し、その実際のコストも1検体あたり1万円程度まで下げ行っている。 新しい原因遺伝子や報告された遺伝子について、日本人の臨床像を解析し、順次投稿している。2021年度に11の遺伝性ニューロパチーの論文を報告した。CMTの遺伝子検査の中から、CMTの臨床像を示すATTR-FAPを遺伝子診断し、その群の詳細な特徴について報告した。FAPには遺伝子治療薬を含めて複数の治療薬があり、治療につなげるという点でも重要な研究である。(J Hum Genet誌に報告)、ニューロフィラメントヘビーチェーン(NEFH)異常症の遺伝学的、臨床的特徴をまとめ一般的CMTとは異なる症候について記載した。(J Hum Genet誌)ミトコンドリア関連核遺伝子の解析により PDHB遺伝子、MTPAP遺伝子、HADHB遺伝子、 SUCLA2遺伝子が、ニューロパチーの原因の可能性が高いと報告した。4つの遺伝子は、ミトコンドリア異常症の原因としては報告されているものの、CMTの原因遺伝子としては一般的には認識されていないもので、今後の遺伝子検査に組み入れる必要がある重要な発見である。(J Neurol誌に報告)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
遺伝子診断は、順調におこなっており、具体的にはIon PROTONシークエンサーを用いて72の原因遺伝子をファーストスクリーニングの遺伝子として選択し、その実際のコストも1検体あたり1万円程度まで下げ行っている。遺伝子診断でもっとも難しいところはシークエンス後であり、発見された遺伝子変異が多型なのか実際の病気に関わっているのかの判定である。それを解決するために我々は、上記のパイプラインのように世界の変異データベースを極限まで利用すると同時に、多数の信頼できる病的変異判定プログラムを組み合わせることで精度を上げ、さらにその変異判定をできる限り自動化した。 遺伝子検査全体から、新しい原因遺伝子や報告された遺伝子について、日本人の臨床像を解析し、順次投稿している。2021年度に11の遺伝性ニューロパチーの論文が発刊され、CMTの臨床像を示すATTR-FAP(J Hum Genet)、NEFH異常症の臨床的特徴(J Hum Genet)、ミトコンドリア関連遺伝子異常によるCMT(J Neurol)などの重要な報告を行い、想像以上の論文報告を行うことができた。さらに論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
このような大規模の遺伝子臨床像の解析をを2022年度も継続していく。 加えて、遺伝子検査が陰性の場合にはエクソーム解析を行っているが、これまでに800名に行われ、さらに、東京大学の辻省次教授との共同研究で、今年度は100-800例を追加予定である。 さらに開発したESVDシステムを用いて新規原因遺伝子の発見を狙う。EVSDシステムは、エクソーム解析にて、一人あたり100-200個程度の強い変異を抜きだし、家系間で比較し共通の遺伝子異常を見いだし、新規CMT関連遺伝子を発見する方法である。現在本システムで発見した遺伝子Xについて、動物モデルを作製し、解析中である。
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