研究課題/領域番号 |
21H02845
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久住 一郎 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30250426)
|
研究分担者 |
石川 修平 北海道大学, 大学病院, 助教 (30880091)
橋本 直樹 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40615895)
扇谷 昌宏 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (60636455)
豊巻 敦人 北海道大学, 大学病院, 助教 (70515494)
古賀 農人 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 助教 (70744936)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 統合失調症 / CCL11 / 認知機能障害 / モデル動物 |
研究実績の概要 |
本研究は精神疾患の1つである統合失調症の認知機能障害について、免疫に関わる分子であるケモカインCCL11が特異的に中枢神経系で細胞傷害作用をもたらし、認知機能を低下させるかどうかを検討する、臨床研究と動物研究、基礎研究からなるトランスレーショナル研究である。 臨床研究については、統合失調症患者50名を対象に、採血によるCCL11濃度の測定、認知機能検査、精神症状評価、MRI撮像による全脳のミエリン鞘の信号強度を 測定し、媒介分分析によってCCL11濃度の増加がミエリン鞘信号強度の低下を介して、認知機能検査成績低下を有意に予測するかを検討する。 2021年度の成果につ いて、患者に精神症状の評価、認知機能検査の施行について長時間の面談が必要であり、新型コロナ禍による感染症対策の必要性から研究体制を整えるのみで あった。 動物研究については、各種統合失調症のモデル動物でCCL11濃度が増大するかどうか、動物における認知機能に対応する行動評価課題での成績低下が見られるかどうかを検討する。2021年度は、メタンフェタミンを用いた統合失調症のモデル動物(覚せい剤モデル)について、短期投与、長期投与した動物について、それぞれロコモーション活動の増加が見られたものの、末梢血でのCCL11濃度の上昇 は確認されなかった。他方で、ポジティブコントトールとしてLPS(感染症を引き起こすグラム陰性菌)投与モデルでは、CCL11濃度の上昇が見られたことから、モデル動物と臨床的知見の相違が見られ、今後は動物研究について新規の検討が必要であると考えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究について、やや遅れているとした理由は、臨床研究の進捗が遅れたことが寄与する。臨床研究では、統合失調症患者を対象に精神症状評価、認知機能検査による面談があり、長時間を要する。その他MRI計測、採血を行う。2021年度は新型コロナ禍による感染症対策を遵守する必要があることから、患者のリクルート、計測を控えた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後について、臨床研究としては患者のリクルート、計測を本格的に着手する。2022年度内に必要例数のデータを得て、様々な知見が得られるが、特に末梢血CCL11濃度が、全脳のミエリン鞘信号強度を介して、認知機能検査成績を予測するか統計学的な探索を行う。動物研究については、統合失調症モデル動物の作成について再検討する。例えばフェンサイクリジンなどのNMDA受容体阻害剤を用いたモデル動物でのCCL11の上昇、認知機能を反映する行動課題の異常を検討する
|