神経発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、知的障害などさまざまな疾患が含まれ、遺伝的要素が強い複雑な病因が特徴である。ゲノムの特定領域の増減を伴うコピー数変異は、神経発達障害の根底にある主要な遺伝的要因である。欠失と重複の両方がこれらの病態に関与する個々の遺伝子座が数多く同定されており、適切な遺伝子量が神経発達と脳機能の重要な決定因子であることが示唆されているが、その根底にあるメカニズムは不明である。Chd8ノックインマウスはヒトのCHD8重複症候群のモデルマウスとして適しており、CHD8の発現増加が脳の発達と機能を変化させるメカニズムに光を当てた。
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