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2021 年度 実績報告書

IKZF転写因子の生理的構造差異による機能分担と変異による転写調節変調機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H02879
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

森尾 友宏  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30239628)

研究分担者 尾崎 富美子  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (60795277)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード原発性免疫不全症 / リンパ球分化 / 転写調節 / ダイマー / イカロス / アイオロス
研究実績の概要

IKZF1ホモダイマー、IKZF1/3ヘテロダイマー、IKZF3ホモダイマーによる転写制御の解析については、用いるtagを再検討して、改良した戦略で研究に取り組んだ。まずIKZF1, IKZF3をKOしたNALM6細胞を作成しており、現在はSplit GFPによりIKZF1/IKZF3ヘテロダイマーを可視化するシステムを構築中である。具体的にはIKZF1とKZF3のN末端にそれぞれGFP(1-10)、GFP11を付加した融合タンパクの発現ベクターをNALM-6に導入する予定である。
ホモダイマーとヘテロダイマーでの機能的差異を明らかにするために、近接タンパク質ビオチン標識法(BioID)を改変し、特異性が向上したAirID法を用いたSplit AirID法を計画した。これによりホモダイマー、ヘテロダイマーを自在にピックアップすることが可能となる。現在はIKZF1, IKZF3のN末端にそれぞれAirIDタグを付加すべくconstructを作成中である。
N159S KIマウス(ヒトN160Sに対応)は作成され、ヒトでの表現型と類似すること、また主たる病態がIkzf3への優性阻害であることを明らかにした。一方Ikzf3 KOよりも表現型が重篤であり、今後neomorphic機能等についても検討を行う予定である。
IKZF3ヘテロ変異による時空間的転写変化の解明(経時的転写調節領域解析)は、マウスの長期保持によりサンプルを集める段階である。アイソフォームの発現解析やモノマーの機能については、次年度以降も継続して解析する。またG158R KIマウスpreB細胞、胸腺細胞でのIkzf1, Ikzf3による転写制御の解析は、作成したN159S KIマウスと共に検討を行う予定としている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

N159S KIマウスが作成され、その表現型解析、病態解析が行われた(理化学研究所 谷内一郎博士との共同研究)。これによりG158R KIマウスとのside by side検証も可能となり、研究の幅が広がった。さらにいくつかの異なるIkzf3変異マウスや、double mutantマウスなどの作成に向けた取組が開始された。
G158Rマウス、G159Sマウス及びヒトにおけるIKZF3異常症については、国際共同研究が進み、一部はJ. Exp. Med (2021)やNat Immunol (2021)に共著として報告し、また今後さらにG159Sマウスを用いてCD23やCD40L発現異常等、病態についての検討を進める段階となっている。
また正常におけるホモダイマー、ヘテロダイマーの機能解析については、より優れたsplit GFPや split AirID法の導入に向けたconstruct作りが着実に進んでいる。本手法自体が機能することは、谷内一郎研究室で明らかになっている点も重要なポイントと考えている。
IKZF3ヘテロ変異による時空間的転写変化の解明(経時的転写調節領域解析)や、モノマーの機能については、大きな課題であり、またチャレンジングな課題と認識しているが、より長いスパンで検討を継続して、成果をあげたいと考えている。

今後の研究の推進方策

来年度以降はsplit GFPあるいはsplit AirIDタグをつけたIKZF1, IKZF3をIKZF1/2 double KO NALM6細胞に導入して、IKZF1, IKZF3のそれぞれのホモダイマー、ヘテロダイマーを可視化すると共に、それぞれの転写調節機能、会合領域について、ChIPseq、RNAseq等を用いて解析を進める予定である。正常における機能が明らかになれば、変異IKZF1, 変異IKZF3でも同様の手法を用いて、転写調節の変調(特にヘテロマー干渉阻害やネオモルフ機能)について、検討を進めたい。
またモデル細胞での検討後は、タグを付与したKIマウス(野生型及び変異型)を作成することによって、胸腺細胞やプレB細胞などにおいて、より精緻な正常及び異常における転写調節制御についての解析を行う予定である。当初の計画では相当数のモデルマウスを用いてのsequential ChIPseqやCUT&RUNなどを計画していたが、研究の進展にあわせてベストの方法を選択していきたいと考えている。
IKZF3ヘテロ変異による時空間的転写変化の解明(経時的転写調節領域解析)や、ヒトG159R(マウスG158R)変異における悪性リンパ腫発生機序の解明は、いずれも変化が顕在化するまでに時間を要するため、着実に成果があがる研究課題を中心に検討を進め、変化を確認したところで集中した検討を開始したい。
モデルマウスについてはその種類を増やしつつ、国際共同研究の中で新たな変異を有するIKZF関連免疫異常症が明らかになれば、積極的に本プロジェクトに取り組み、病態の解明に当たりたいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Department of Laboratory Medicine,/Clinical Center、NIH/Sergio D. Rosenzweig, MD, PhD.(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Department of Laboratory Medicine,/Clinical Center、NIH/Sergio D. Rosenzweig, MD, PhD.
  • [雑誌論文] T and B cell abnormalities, pneumocystis pneumonia, and chronic lymphocytic leukemia associated with an AIOLOS defect in patients.2021

    • 著者名/発表者名
      Kuehn HS, Chang J, Yamashita M, Niemela JE, Zou C, Okuyama K, Harada J, Stoddard JL, Nunes-Santos CJ, Boast B, Baxter RM, Hsieh EWY, Garofalo M, Fleisher TA, Morio T, Taniuchi I, Dutmer CM, Rosenzweig SD.
    • 雑誌名

      J Exp Med

      巻: 218 ページ: e20211118

    • DOI

      10.1084/jem.20211118.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A variant in human AIOLOS impairs adaptive immunity by interfering with IKAROS.2021

    • 著者名/発表者名
      Yamashita M, Kuehn HS, Okuyama K, Okada S, Inoue Y, Mitsuiki N, Imai K, Takagi M, Kanegane H, Takeuchi M, Shimojo N, Tsumura M, Padhi AK, Zhang KYJ, Boisson B, Casanova JL, Ohara O, Rosenzweig SD, Taniuchi I, Morio T.
    • 雑誌名

      Nat Immunol

      巻: 22 ページ: 893-903

    • DOI

      10.1038/s41590-021-00951-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inborn errors of IKAROS and AIOLOS.2021

    • 著者名/発表者名
      Yamashita M and Morio T.
    • 雑誌名

      Curr Opin Immunol .

      巻: 72 ページ: 239-248

    • DOI

      10.1016/j.coi.2021.06.010.

    • 査読あり
  • [学会発表] Elucidation of the molecular pathogenesis of human inborn errors of immunity.2021

    • 著者名/発表者名
      Morio T
    • 学会等名
      The 50th Annual Meeting of Japanese Society of Immunology

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公開日: 2022-12-28  

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