研究課題/領域番号 |
21H02883
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊東 恭子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80243301)
|
研究分担者 |
藤本 崇宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10446114)
伏木 信次 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80150572)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 胎児医学 / 体細胞モザイク / 脳形成異常 / 脳オルガノイド / 子宮内電気穿孔法 |
研究実績の概要 |
pmCherry-N1ベクターを骨格として、プロモーターをpCMVからpCAGに変更、HA-tag、かつ細胞膜移行シグナルCaaXを入れたベクターに、AKT1 E17K、PIK3CA E545Kを挿入し、変異遺伝子とWTのベクターを作製した(pCAG-AKT1-HAtag-P2A-mCherry, pCAG- AKT1-HAtag-P2A-mCherry-CaaX、pCAG-AKT1E17K-HAtag-P2A-mCherry, pCAG- AKT1 E17K -HAtag-P2A-mCherry-CaaX、pCAG-PIK3CA-HAtag-P2A-mCherry, pCAG- PIK3CA -HAtag-P2A-mCherry-CaaX、pCAG-PIK3CAE545K-HAtag-P2A-mCherry, pCAG- PIK3CAE545K -HAtag-P2A-mCherry-CaaX) 。胎齢13.5日にin utero electroporationにより、上記プラスミドを胎仔脳脳室帯神経幹・前駆細胞に導入後、胎齢15.5日、16.5日、17.7日、生後3日に解析した。変異遺伝子(AKT1E17K)導入細胞は、PIK3-AKT-mTORシグナルが過活性化されており、幼弱な神経細胞はサブプレートから中間帯に結節状に残存し皮質板への遊走が抑制され、生後3日においても皮質下ヘテロトピアとして観察された。これらの神経細胞では、皮質神経細胞の層マーカとなる複数の転写因子群:Ctip2、Satb2を異所性発現していた。 今後、分化・遊走障害の分子メカニズムを:PIC法(Photo-Isolation-Chemistry:空間/領域特異的トランスクリプトーム解析)を用いて明らかにする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
交付時の計画では、空間的遺伝子発現解析方法をVISIUM(10XGenomics)とする予定であったが、当初の想定に反し、サンプルが過小なため網羅的遺伝子解析が不十分になる可能性が判明した。当初の計画を見直し、空間的遺伝子発現解析方法をVISIUMからPIC:空間/領域特異的トランスクリプトーム解析とさらに精度の高い新規方法論に変更し、新規サンプル作製を行う必要が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
1. in vivo での動的解析 1-1) pCAG-gene-HAtag-P2A-mCherry、pCAG-gene-HAtag-P2A-mCherry-CaaXを用いて、変異遺伝子(AKT1 E17K、PIK3CA E545K)と野生型(AKT1、PIK3CA)のベクターを作製した。1-2) マウス胎仔脳への遺伝子導入と細胞挙動解析:作製した蛍光標識ベクターを、胎齢13.5日のマウス胎仔(C57BL/6系統)の側脳室脳室帯に子宮内電気穿孔法で導入し、モザイク脳を作製する。遺伝子導入1-3日後に胎仔脳を摘出し、組織切片(200μm)を作成しCO2細胞培養チャンバー内で組織培養を行い、共焦点レーザ顕微鏡下のタイムラプスで導入細胞の移動、突起伸長を24時間~48時間観察する。1-3) 蛍光標識ベクターを、胎齢13.5日のマウス胎仔(C57BL/6系統)の 側脳室脳室層に子宮内電気穿孔法で導入してモザイク脳を作製、生後3日で脳を摘出する。連続切片作製を行ない、ヘテロトピア神経細胞の軸索伸長、神経回路形成を明らかにする。1-4) 空間的遺伝子発現解析:胎齢13.5日のマウス胎仔脳側脳室脳室帯に子宮内電気穿孔法でベクターを導入し、胎齢15.5日の胎仔脳を対象にPIC法(Photo-Isolation-Chemistry)を用いて空間的遺伝子発現解析を行なう(受託解析)。
|