研究課題/領域番号 |
21H02886
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
井上 健 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第二部, 室長 (30392418)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 先天性大脳白質形成不全症 / 遺伝子治療 / アデノ随伴ウィルス / マイクロバブル超音波併用法 |
研究実績の概要 |
マイクロバブル超音波併用法は血液脳関門の透過性を一時的に上げることができる薬剤デリバリー技術として脳腫瘍治療領域への開発が進んでいるが、脳室内から脳実質へのAAV透過性を亢進させることも同様に期待できる。そこでマイクロバブル超音波併用法を用いたAAVの脳室内投与の有効性をマウスおよびマーモセットで検証し、特にAAVデリバリーが難しいとされるオリゴデンドロサイトへの安全かつ広範囲高効率なAAVデリバリー技術を確立する。これにより我々が開発を進めてきた先天性大脳白質形成不全症を始め、多くの小児神経難病の遺伝子治療法の実用化に寄与する基盤技術の確立が期待される。 本年度は下記の研究を実施した。 1)マイクロバブル超音波併用法を用いたAAVの脳室内投与の有効性のマウスでの検証と条件の最適化 野生型マウスを用いた有効性検証と条件最適化を行う。AAVはオリゴデンドロサイト特異的にGFPを発現するベクターAAV9-hCNP-NegmiRNAを選択した。片側の脳室内にAAVをマイクロバブルと共に投与し、直後に超音波を照射。2週間後に脳切片を作成し、蛍光シグナルの強度と脳損傷の程度を検証し、安全かつ有効性の高い超音波照射の条件を検索した。その結果、60秒および90秒の照射で非照射群に比べ、有意に高い効率でのAAV導入を得ることができた。一方、120秒の照射では導入効率が落ちることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度からの施設のコロナ感染対策の影響による計画の遅れに加え、実験結果のブレが観察されたため、条件検討のための実験、あるいは再現実験の実施などが必要となり、その結果、計画より進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験条件の再検討を丁寧に行った結果、科学的な確実性が高い条件を明らかにすることができた。今後は、この条件の元、治療効果の検証など遺伝子治療としての有用性の検討を実施する予定である。
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