現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来の手法では、例えばDNAメチル化がコントロールの20%に低下している異常を検出しても、DNAメチル化状態が個々の細胞やアレル間で区別されていないため、細胞集団での平均値を意味している。本研究では、次世代シークエンサーを用いた高頻度重複配列解析を行うことで、DNAメチル化異常状態が、均一なのか、細胞ごとに異なるのか、あるいは当該ゲノム内でもアレル間で異なる異常を呈しているのか、等々、これまで検証されていなかった様々な異常パターンを明らかにできる。その結果、たとえば細胞間あるいはアレル間でほぼ同一・均一な異常であれば、比較的発生初期に起こったと推定することができる。解析対象領域とその条件検討は、独自の先行研究で終了しており、14の染色体上に散在する、合計50領域、のべ606個のシトシンのメチル化状態である。次世代シークエンサーを用い、50領域それぞれ平均8,000回シークエンスデータを比較的安価(3,000円/検体)に収集した。各症例のあらゆるエピゲノム変異パターンが系統的網羅的に捕捉できていると予想され、同一サンプルに含まれる多様なエピゲノム異常パターンとその比率を、シーケンスデータから検出し定量的に算出した。インフォマティックツールとしてMethclone等を利用し、そのclonalityの派生状況を考慮して前述のように発症メカニズムを推定した。その結果、複数のインプリンティング領域に軽微なDNAメチル化値の変化を認めた。いずれもβ値換算で0.1以下の軽微な変化であり、遺伝子発現への影響は少ないと考えられた。これまでのところ、その外にも有意なDNAメチル化変化が検出されるものの、その変化はごく軽微であり、いずれも遺伝子発現への影響は限定的と推定される。
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