研究課題/領域番号 |
21H02895
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
水谷 知裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80632588)
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研究分担者 |
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腸管スフェロイド / iPS細胞 / 腸管グラフト / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患は未だ原因不明の難治性疾患であり、その複合的な病態を再現する実験モデルが存在しないことが問題である。本研究は、研究代表者らが独自に見出した「iPS細胞由来自己組織化腸管スフェロイド」を基盤とし、多様な細胞集団を共在させることでより複雑で生理的な「複合型腸管組織」を作出、移植技術と組み合わせることでマウス体内にヒトキメラ腸管組織を構築し、難治性腸炎のin vitro/in vivo実験系を構築することを目的とする。本研究によって、難治性腸炎の病態メカニズムの理解を深め、創薬や治療開発に応用可能な技術の創出が期待されるだけでなく、緻密な複合型組織による疾患モデルという概念は、様々な臓器に適応し得る基盤技術として新規アプローチを開拓するものである。 本年度は、「自己組織化腸管スフェロイド」を用いた複合型腸管組織の誘導条件の検討」の研究計画に従い、ヒトiPS細胞から誘導した自己組織化腸管スフェロイドを基に、複合型腸管組織の作出を試みた。既報の応用により、ヒトiPS細胞間葉系細胞、血管内皮細胞、神経堤細胞などへの誘導条件を再現するとともに、既に確立した腸管スフェロイドの浮遊培養条件においても、誘導腸上皮細胞と他の誘導細胞が自己組織化によって融合スフェロイドを形成し得るかを確認した。今後、本研究成果を基盤として、in vitroにおける、より複雑で生理的な「複合型腸管組織」の作出に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ヒトiPS細胞由来の各分化細胞への誘導を再現し得た。また、独自に樹立した浮遊培養による腸スフェロイド培養条件において、各種の分化細胞との融合を確認できた。加えて、免疫不全マウスへの移植実験により複合的な腸組織への安定的な成熟を確認することができた。複合型自己組織化腸スフェロイドの培養条件が樹立できていることから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度樹立された複合型自己組織化腸スフェロイドの培養条件を用いて、さらに複合的構造を有する自己組織化腸管組織の構築に向けた開発を進める。また、各々分化させたiPS細胞由来の胚葉成分を適切なタイミングで融合させる条件の検討を進める。
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