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2022 年度 実績報告書

組織学的治癒を目指したIBD病態リセット機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H02898
研究機関筑波大学

研究代表者

土屋 輝一郎  筑波大学, 医学医療系, 教授 (40376786)

研究分担者 竹中 健人  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (10783368)
岡本 隆一  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒト体外モデル / 炎症塑性 / 塑性リセット
研究実績の概要

炎症性腸疾患は難病であり一旦寛解に導入しても再燃することが問題である。それは寛解状態でも腸管上皮細胞の組織学異常が残存しバリア機能不全が継続しているためである。実臨床では粘膜治癒から組織学的治癒を治療目標とする概念が提唱されているが、組織学的病態を形成する機構や病態を回復させる機構は不明である。本研究では申請者が独自に構築したヒト大腸体外IBDモデルを発展させ、長期炎症暴露による塑性的な上皮細胞病態形成機構及びその病態を回復させる可塑性分子機構を解明し、IBD組織学的治癒開発の基盤構築を目的とする。
本研究においては1)ヒトIBD擬似モデルにおける腸管上皮幹細胞炎症塑性獲得機構解析、2)ヒトIBD擬似モデルにおける腸管上皮IBD病態形質獲得機構解析、3)腸管上皮細胞IBD病態塑性リセット機構解析を中心課題に据え遂行する。
ヒトIBD擬似モデルにおける腸管上皮幹細胞炎症塑性獲得機構解析においては、長期炎症特異的因子群の発現からSLFN11を同定し、CRISPRでの欠損もしくは強制発現により動揺させた。また、IBD患者臨床検体にても発現していることを確認した。
また、本モデルで炎症によりテロメア長が短縮することを発見した。ヒト細胞において炎症刺激のみでテロメアが短縮することを初めて発見した。炎症刺激除去後もテロメア短縮は持続しており、IBD病態との関連が示唆された。
ヒトIBD擬似モデルにおける腸管上皮IBD病態形質獲得機構解析においては、ヒトIBD擬似モデルでは粘液産生が低下し、マウス大腸への移植にて杯細胞が減少した。腺管を構築するなどIBD病態を模倣していることを確認した。杯細胞減少、粘液産生低下に関与する制御因子の同定を目的とし、分化系譜分岐点の細胞クラスター発現動揺した遺伝子を抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定した、ヒト大腸オルガノイドを用いたIBDモデルは疾患の病態を模倣していることを確認しえた。今後このモデルを用いた病態解明及び新規治療薬開発にむけて概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

構築した疾患モデルをさらに解析することにより、病態を直結する因子をさらに探索する。昨年度までに抽出した候補遺伝子について、強制発現もしくは欠損モデルオルガノイドを構築しており、候補遺伝子の機能解析を行うことで責任遺伝子を同定する予定である。また、腸管上皮幹細胞に特化した系を樹立することにより、幹細胞特異的なIBD病態機構の同定を試みる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Treatment escalation and de-escalation decisions in Crohn’s disease: Delphi consensus recommendations from Japan, 20212023

    • 著者名/発表者名
      Nakase Hiroshi、Esaki Motohiro、Hirai Fumihito、Kobayashi Taku、Matsuoka Katsuyoshi、Matsuura Minoru、Naganuma Makoto、Saruta Masayuki、Tsuchiya Kiichiro
    • 雑誌名

      Journal of Gastroenterology

      巻: 58 ページ: 313~345

    • DOI

      10.1007/s00535-023-01958-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Organoids transplantation as a new modality to design epithelial signature to create a membrane-protective sulfomucin-enriched segment2023

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Satoshi、Ogasawara Nobuhiko、Kobayashi Sakurako、Kirino Sakura、Inoue Masami、Hiraguri Yui、Nagata Sayaka、Shimizu Hiromichi、Ito Go、Mizutani Tomohiro、Nemoto Yasuhiro、Tsuchiya Kiichiro、Okamoto Ryuichi、Watanabe Mamoru、Yui Shiro
    • 雑誌名

      Journal of Gastroenterology

      巻: 58 ページ: 379~393

    • DOI

      10.1007/s00535-023-01959-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Collagen type I-mediated mechanotransduction controls epithelial cell fate conversion during intestinal inflammation2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Sakurako、Kofuji Satoshi、Shimizu Hiromichi、Ito Go、Mizutani Tomohiro、Yamauchi Shinichi、Kinugasa Yusuke、Kano Yoshihito、Nemoto Yasuhiro、Watanabe Mamoru、Tsuchiya Kiichiro
    • 雑誌名

      Inflammation and Regeneration

      巻: 42 ページ: 49

    • DOI

      10.1186/s41232-022-00237-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Antioxidative Self-Assembling Nanoparticles Attenuate the Development of Steatohepatitis and Inhibit Hepatocarcinogenesis in Mice2022

    • 著者名/発表者名
      Watahiki Takahisa、Okada Kosuke、Miura Ikuru、To Keii、Tanaka Seiya、Warabi Eiji、Kanno Naomi、Yamagata Kenji、Gotoh Naohiro、Suzuki Hideo、Ariizumi Shunichi、Tsuchiya Kiichiro、Nagasaki Yukio、Shoda Junichi
    • 雑誌名

      Antioxidants

      巻: 11 ページ: 1939~1939

    • DOI

      10.3390/antiox11101939

    • 査読あり
  • [学会発表] バルーン内視鏡が切り拓く 小腸病態解明への新たな展開  ~生検からオルガノイドまで~2023

    • 著者名/発表者名
      土屋 輝一郎
    • 学会等名
      第24回小腸内視鏡研究会学術セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト体外IBD上皮モデル構築 から見たサイトプロテクション2023

    • 著者名/発表者名
      土屋 輝一郎
    • 学会等名
      第41回サイトプロテクション研究会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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