消化管は栄養素の代謝・吸収を行う臓器であるとともに、病原細菌など外来抗原の侵襲に対しする防御免疫誘導の場であり、感染防御の第一線を担っている。一方で、腸内細菌叢や食物抗原などの常在抗原に対する過剰な免疫反応は、炎症性腸疾患や食物アレルギーなどの自己免疫様疾患を引き起こす。その為、正常腸管では免疫応答を負に制御する細胞集団が存在しており、常在抗原に対する寛容を誘導している。制御性T細胞(regulatory T cells; Tregs)は消化管における免疫制御の中心を担う細胞として知られており、その欠損や機能不全は炎症性腸疾患などの発症につながる。本年度は、Tregによる免疫制御機構やTregの分化・機能維持機構を解析した。さらに、炎症性腸疾患に対して使用される青黛の大腸炎症抑制メカニズムを解明する。2023年度は炎症性腸疾患患者の内視鏡写真を取り込み、炎症の程度をグラデーションを持って評価できる機械学習システムを開発し、潰瘍性大腸炎の炎症をリアルタイムで評価できるシステムを開発した。
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