研究課題
高齢者に多く発症し脳梗塞や心不全など重篤な合併症をもたらす心房細動は、超高齢化社会を迎えた我が国では喫緊の解決課題であるが、根本的な心房細動治療薬はない。そこで本研究は「心房細動が心房細動を起こす(AF beget AF)という心房細動特有の慢性化・重症化現象」を説明しうる『自律的・自己増幅的機構』が存在するという仮説をたて心房細動の発症・重症化機構を解明することを目的としている。前年度までに循環cfDNA・特にミトコンドリア由来cfDNAが自律的・自己増幅的機構に寄与していること、また心房細動関連遺伝子の一つであるRBM20の機能解析で心筋細胞におけるRNA代謝変容が心房細動の原因となりうることを見出してきた。当該年度においては、心房筋特異的に変異型RBM20を発現する新規遺伝子改変マウスを作成しその心機能や電気生理学的評価をはじめとした心臓表現型解析を行ったところ、同マウスにおいては心房細動が容易に誘発可能であることを見出した。同マウスでは、心室機能は正常で心不全を生じず、心房線維化も呈さないにもかかわらずにコネキシンの発現低下に伴って心房伝導障害を来していた。さらに単離心筋細胞を用いた検討でカルシウムハンドリング異常も呈し不整脈原性を生じることが明らかとなった。このことは、健常心房筋においてもRBM20の細胞内局在変化により心房細動発症素地が形成され、伝導障害やカルシウム制御異常が生じることを示しており、RBM20の細胞内局在の是正が治療標的になりうると考えられた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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