研究課題/領域番号 |
21H02913
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
大津 欣也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 理事長 (20294051)
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研究分担者 |
種池 学 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30609756)
山口 修 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (90467580)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心不全 / ミトコンドリア / 心筋炎症 |
研究実績の概要 |
本研究では、(I) 心不全発症進展においてマイトファジーは保護的役割を有する、(II) ミトコンドリアDNAのメチル化によって制御される炎症惹起もしくは転写調節が心不全病態に影響を与える、(III) DNaseIIによるミトコンドリアDNA分解促進が心不全抑制効果を発揮する、という仮説を検証することを中心として研究を進めている。 (I) Bcl2L13の全身ノックアウトマウスを作製し、心臓圧負荷手術を行ったところ、心エコーや臓器重量、組織学的パラメーターの評価により、野生型と比較して有意な表現型の違いを認めた。これらは我々の仮説に合致する結果であり、非常に有用なデータであると考えられた。このモデルについて、さらに詳細な解析を行うため、当初の計画に沿って実験・研究を進めている。 (II) 野生型マウスを用いた複数の心臓病態モデル(圧負荷や心筋梗塞)におけるリモデリング中のミトコンドリアDNAメチル化の変化を評価したが、有効なデータが得られておらず、確認作業を進めている。ミトコンドリア局在性DNMT1ノックアウトマウスにおけるミトコンドリアDNAのメチル化、および心臓圧負荷モデルを作製し、その表現型を評価しているが、こちらも有効なデータが得られておらず、確認作業を進めている。 (III)DNaseIIの発現を抑制するmicroRNAに対するanti-microRNAを発現するAAVを用いて、心不全病態モデル動物における各種パラメーターへの影響を評価した。その結果、一部は我々の期待した通りのデータが得られたものの、総合的には有用なデータが得られたとは言いがたい状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(I)のプロジェクトについて、有意なマウスの表現型を認めており、順調にプロジェクトが進行していると考えられる。(II)と(III)については、いずれもマウスを用いた実験は進められているものの、プロジェクトを進めるにあたり有効なデータが得られておらず、プロトコルや評価系の変更などが必要な状態である。そのため、現在までの進捗状況としては、やや遅れていると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
前述の3つの仮説について、以下のように解析を進める。 (I) Bcl2L13全身ノックアウトマウスの心臓圧負荷モデルについて、Preliminaryなデータは取得できているが、マウスの生産状況が順調でないため、本年度も継続して評価を行う。また、生化学的評価やミトコンドリアの形態や機能、さらには、オートファジー活性、特にマイトファジー活性について評価を行う。 (II) 野生型マウスを用いた複数の心臓病態モデルにおけるミトコンドリアDNAメチル化の変化について評価を続ける。また、ミトコンドリア局在性DNMT1ノックアウトマウスの定常状態および心臓圧負荷モデルにおけるミトコンドリアDNAのメチル化およびその表現型の評価を続ける。さらに、炎症強度をqPCRを用いた炎症性サイトカインのmRNAレベルや免疫組織学的手法による炎症細胞浸潤により評価する。 (III) DNaseIIの発現を抑制するmicroRNAに対するanti-microRNAを発現するAAVを用いて、必要な修正・変更を加えながら、心不全病態モデル動物におけるデータの収集を行う。
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