研究課題
ダウン症モデル Ts2Cje とそのlitter mate WT コントロールを基に、若齢時(3ヶ月)と加齢後(12ヶ月、16ヶ月)での脳血管を採取し、プロテオミクス解析を進めた。まず、脳血管においてダウン症染色体に位置するSOD1 の発現はコントロ-ルに比べいつでも高値を示し、さらに加齢において顕著にダウン症モデルにて上昇するタンパク2種類と減少するタンパク1種類を同定した。まず SOD1 については、ヒドロキシラジカルを中和するが、結果として過酸化水素の上昇も行うことが知られている。12ヶ月齢での脳切片をもとに酸化状態を示す4HNE 抗体を用いた免疫染色を行ったところ、特に血管周囲ではWT コントロールに比べダウン症モデルのほうが、より 4HNE 陽性状態になっていることが示された。他の2種類の候補タンパクにおいては ELISA スクリーニングや抗体での免疫染色にてプロテオミクスデータの検証を行う予定としている。一方、ダウン症での抗動脈硬化作用を解明する目的で、Ts1Cje とApoE 欠損マウスの掛け合わせを進め、CARD での過剰排卵技術も使いながら、実験に供するモデルの n数を確保することが出来た。丁度 高脂肪食負荷を始めたところであり、まずヒトにおいて認められた事象がモデルマウスでも同様であるか検証する。もし、Ts1Cje でのトリソミー領域では不充分な場合、よりダウン症遺伝子群をトリソミーにしている、脳血管プロテオミクスで用いた Ts2Cje を動脈硬化の解析に適した C57BL6/j の遺伝子背景に揃え、解析に用いることが前提条件である。そのため、Ts2Cje 自体を C57Bl6/j マウスと6回戻し交配し、産仔は少ないものの、初めてこのモデルを動脈硬化解析に用いられるよう準備することに成功している。
2: おおむね順調に進展している
COVID19 の影響でマウス維持と産仔拡大に前半問題が生じた。その一方デルタ株の終息に伴い、研究活動もより正常化しつつあり、想定されるレベルでは研究は進行していると判断した。
ダウン症モデルでの解析から循環病態、特に動脈硬化に抵抗性を示す原理解明に繋げていく目標であるが、マウスでの限界や熊大でのマウス維持の資金においてかなりの幅を占めることから、ダウン症ヒト iPS 細胞や 患者でのセルフリーDNA の獲得を考えている。申請書に記載したとおりである。倫理申請を進めており、認可されたらこの方面からの血管生物学やエピゲノム解析を展開していく予定である。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 備考 (3件)
Cell Reports
巻: 38 ページ: 110332~110332
10.1016/j.celrep.2022.110332
Journal of Biological Chemistry
巻: 296 ページ: 100697~100697
10.1016/j.jbc.2021.100697
Blood Cancer Discovery
巻: 2 ページ: 370~387
10.1158/2643-3230.BCD-20-0108
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 571 ページ: 201~209
10.1016/j.bbrc.2021.07.072
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 13502
10.1038/s41598-021-92879-5
Leukemia
巻: 36 ページ: 558~561
10.1038/s41375-021-01384-1
Inflammation and Regeneration
巻: 41 ページ: 26
10.1186/s41232-021-00176-5
https://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20220208
http://irda-vascular.kuma-u.jp/news/2021/06/-jbc-httpsdoiorg101016jjbc2021100697.html
http://irda-vascular.kuma-u.jp/news/2021/08/1-1.html