研究課題
気管支喘息の長期罹患例では、気道リモデリングにより肺機能が低下する。気道リモデリングの病態にはTh2細胞が産生するIL-13や、多くの細胞が産生するTGF-bの関与が示されているが未だ不明な点が多い。気道リモデリングの修復機転に関する知見はさらに少なく、「気道リモデリングは非可逆的である」と一般に信じられているが、その科学的根拠は乏しい。近年、皮膚では上皮幹細胞が過去の炎症を記憶し、反応性を亢進させることが示されたが気道リモデリングにおける上皮細胞炎症記憶の関与は不明である。本研究では、気道炎症における上皮細胞記憶と樹状細胞の関連を包括的に解析した。具体的には、チリダニ(HDM)喘息モデルにおいて誘導される上皮細胞と樹状細胞の相互作用について、各細胞のRNAシークエンス解析とH3K27ac ChIPシークエンス解析を経時的に行った。その結果、HDM喘息により誘導されるスーパーエンハンサーとスーパーエンハンサー関連遺伝子を多数同定した。同定したスーパーエンハンサー領域に対応するヒトゲノム領域には喘息関連SNPsが集積したことより、ヒト喘息においても重要な領域/遺伝子が同定できたと推察される。さらに経時的なRNAシークエンス解析により、単球由来樹状細胞においてトランスクリプトーム変化が他の細胞に先行して誘導されることが明らかとなった。そして単球由来樹状細胞が産生し、他の細胞と相互作用する可能性のあるサイトカインとしてオンコスタチンMを含む複数の分子が抽出された。次に、HDM喘息モデルにおけるオンコスタチンMの役割を中和抗体の投与実験により解析した。その結果、抗オンコスタチンM抗体の投与は好酸球性炎症の強度に大きな影響を与えないことが明らかとなった。現在、抗オンコスタチンM抗体の投与量を増やした追加実験を行うとともに、他の候補分子の機能を解析している。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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