研究課題/領域番号 |
21H02938
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
氏家 英之 北海道大学, 医学研究院, 教授 (60374435)
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研究分担者 |
柳 輝希 北海道大学, 大学病院, 講師 (50755973)
泉 健太郎 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50793668)
夏賀 健 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70645457)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 加齢 / 類天疱瘡 / 免疫寛容 / 制御性T細胞 / Age-associated B cell / DPP-4阻害薬 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
研究実績の概要 |
免疫系の老化、すなわち免疫老化によって自己免疫疾患のリスクが増加することが知られているが、詳細な機序の大部分は不明である。水疱性類天疱瘡(BP)は表皮基底膜部に存在するBP180やBP230に対する自己抗体によって生じる自己免疫性水疱症で、高齢者に好発する。我々は最近、一部の高齢マウスは表皮基底膜部に対する自己抗体を自然産生していることを発見した。本研究の目的は、BPをモデル疾患として“加齢に伴う免疫自己寛容の破綻機序を解明する”ことである。 本年度は、若年マウスや高齢マウスの表皮基底膜部に沈着するIgM自己抗体の反応強度の数値化を行った。若年マウスに比べ高齢マウスでは有意に反応強度が高かった。高齢マウスが産生する抗基底膜部自己抗体の標的抗原を同定するため、COL7のウエスタンブロットを行ったが、若年マウスや陰性コントロールでも反応が見られてしまい、はっきりとした結果が得られなかった。そこで、皮膚に沈着するIgM自己抗体とBP180あるいはCOL7を二重染色し調解像度顕微鏡で確認したところ、IgM自己抗体は主にCOL7と共局在していることが明らかとなった。 薬剤投与により高齢マウスに病原性自己抗体を誘導できるかどうかを、近年BPの発症誘因として注目されているDPP-4阻害薬と抗PD-1抗体に着目して検討した。高齢マウスにDPP-4阻害薬(n=7)と抗PD-1抗体(n=5)を薬剤を4か月間投与したが、コントロールマウスと比較して明らかな自己抗体の誘導は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢マウスが産生する抗基底膜部自己抗体の標的抗原の同定、TregとABCsの相互作用の解析、薬剤投与による高齢マウスへの病原性自己抗体の誘導実験を既に実施し結果も得られているため、全体としておおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ABCsの培養実験はまだ条件検討を続けているところであり、今後も継続して実施していく。また、高齢者の抗基底膜部自己抗体産生の有無についても、皮膚検体を収集し蛍光抗体直接法による検討を行っている最中であり、検体数を増やして更に検討を行っていく。高齢マウスが産生する抗基底膜部自己抗体の標的抗原の同定に関しては、マウス血清とマウス皮膚を用いて1M食塩水剥離皮膚蛍光抗体間接法(split-skin IIF)を行い、さらにデータを追加していく。
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