研究課題/領域番号 |
21H02954
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田村 智彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (50285144)
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研究分担者 |
黒滝 大翼 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (10568455)
ラミロフスキー ジョーダン 横浜市立大学, 先端医科学研究センター, 准教授 (10627269)
西山 晃 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (80589664)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クロマチン高次構造 / 細胞分化 / 転写因子 / 単球 / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では微量細胞でのHi-C法や独自のIrf8エンハンサー欠損マウスなどを用いて、単核貪食細胞(樹状細胞や単球)の分化過程におけるクロマチン高次構造変化とその制御機構を解明し、血液学的な知見のみならず細胞分化の基本原理に迫る。2022年度の成果について述べる。 1. Irf8遺伝子座でのエンハンサー間相互作用の解析 これまでにIrf8 +56 kbエンハンサーが3'側のエンハンサー群のマスターエンハンサーであることを支持する結果を得ていたが、樹状細胞分化を導くトランスクリプトームならびにエンハンサーの形成における役割は不明であった。+56 kbエンハンサーのヘテロ欠損前駆細胞の遺伝子発現を解析した結果、樹状細胞でのIRF8高発現に必須の+32 kbエンハンサーが2アリルとも保持されているにもかかわらず、+56 kbエンハンサーのヘテロ欠損前駆細胞は+32 kbエンハンサーのホモ欠損前駆細胞と似た遺伝子発現を示し、+32 kbエンハンサーの機能に必須であることが示された。さらに、+32 kbエンハンサーのヘテロ欠損前駆細胞でも+56 kbエンハンサーのH3K27acの減弱が認められた。これらの結果から、3'エンハンサー間の相互活性化作用が示された。 2. 樹状細胞分化におけるエピジェネティクスのダイナミクス 生体由来のサンプルでのヒストン修飾をより微量で行うために、CUT&Tag法を採用し、さらに改良を加え、種々のヒストン修飾の解析を進めている。特に、樹状細胞分化における遺伝子発現制御を詳細に解析するためには、抑制性エピジェネティクスの解析が必要であり、H3K27me3に代表される抑制性ヒストン修飾、ならびにメチル化DNAについて解析も開始した。メチル化DNAについても微量解析が可能なEM-seq法を採用し、IRF8欠損マウス由来サンプルを含めた16細胞種での解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
大変順調に解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、研究を進めていく予定である。特に、Irf8 3’エンハンサーにおける相互活性化には、系譜特異的転写因子によるtrans作用とエンハンサーの物理的相互作用に基づくcis作用が関わると考えられる。Irf8エンハンサーの相互活性化がどの様に制御され、Irf8遺伝子の発現を制御するのか、さらには樹状細胞分化にどのような役割を持つかについて解析を行う。
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