研究課題
本研究では微量細胞でのHi-C法や独自のIrf8エンハンサー欠損マウスなどを用いて、単核貪食細胞(樹状細胞や単球)の分化過程におけるクロマチン高次構造変化とその制御機構を解明し、血液学的な知見のみならず細胞分化の基本原理に迫る。2023年度の成果について述べる。1. Irf8遺伝子エンハンサーにおけるtransとcisの複合作用の解析これまでに3個のIrf8 3'のエンハンサーが相互活性化することで、IRF8の発現を最適化し、樹状細胞分化を導くことを支持する結果を得ていたが、この相互活性化がIRF8を含む樹状細胞分化に関わる転写因子によるtransの作用によるものか、物理的相互作用によるcisの作用によるものかは不明であった。このため、エンハンサー欠損マウス由来の造血幹前駆細胞に外来的にIRF8を発現させることで、樹状細胞の産生、ならびにトランスクリプトームを救済させ、エンハンサーの解析を行った。その結果、+56 kbエンハンサーによる他の二つのIrf8エンハンサーへの作用はIRF8発現によって誘導された転写因子によるtrans作用が主であること、一方、+32 kbエンハンサーにおいてはcis作用が主であることを支持する結果を得た。2. 単核貪食細胞分化におけるDNAメチル化のダイナミクス単核貪食細胞分化における遺伝子発現制御を詳細に解析するために、抑制性エピジェネティクスの解析を進めている。特にDNAメチル化については、IRF8欠損マウス由来サンプルを含めた16細胞種のデータを取得し解析を行った。CpGメチル化率は約80%と高いものの、単角貪食細胞分化に伴うメチル化可変領域を抽出でき、さらにIRF8依存的な脱メチル機構の存在が明らかとなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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