研究課題
[目的]未治療RA患者の末梢血の制御性T(Treg)細胞、濾胞性制御性T(Tfr)細胞、濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞に関して発症年齢による差を明らかにすることを目的とする。また、Glucose-6-phosphate isomerase (GPI)誘導関節炎モデルマウスにおいても同様に検証する。[方法]1)未治療RA患者27例、変形性関節症(OA)患者12例に関して、若齢および高齢患者末梢血においてそれぞれTreg、Tfr、Tfhの割合をフローサイトメトリーで解析した。2)若齢および高齢マウスにGPI誘導関節炎を起こし、関節炎スコアを用いて表現型の違いおよび血清中のサイトカイン、抗GPI抗体価を検証した。また、関節炎極期において脾臓もしくは鼠径リンパ節中のTreg、Tfr、Tfhの割合、機能分子の発現を解析した。[結果]1)RAにおいてTregおよびTfhの割合は若齢群と高齢群で有意差を認めなかったが、Tfrの割合は高齢群で有意に高かった。2)高齢マウスでは若齢マウスと比較して有意な関節炎スコアの上昇を認め、血中IL-17A濃度が有意に高かったが、抗GPI抗体価には有意差を認めなかった。高齢マウスでは若齢マウスと比較して脾臓、リンパ節で有意にTfr、Tfhが増加しており、Treg上のCD25およびTfh、Tfr上のICOS発現が有意に低く、Treg上のPD-1発現が有意に高かった。[結論]高齢発症関節リウマチにはTreg, Tfrの機能低下が関与している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
関節リウマチ患者、及びモデルマウスで高齢発症でのTfr、Tregの差異を確認できている。今後RNAseqを用いて細胞レベルで差異の意義を詳細に解明していく予定である。
ヒトにおいてはTfrに着目したRNA seq解析を進める。マウスにおいては抗CD25抗体を用いた関節炎の若齢・高齢での差がpreliminaryに認められているので、どのようなTregの変化により病態の変化が起きるのかを明らかにしていく。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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https://tsukuba-rheumatology.jp/