研究課題
関節リウマチ(RA)においては、近年高齢発症者が増加している。RAにおいてCD4陽性T細胞の重要性は明らかであるが、我々は濾胞性Th17細胞がRAの病態増悪に関わり(Ann Rheum Dis 2019)、RORgt陽性制御性T細胞がRA疾患活動性とともに変化する(Rheumatology 2023)ことを明らかにしてきた。また、RAでは制御性T細胞(Treg)の機能低下が報告され、TregのeQTL効果が高く疾患活動性と相関する(Ota M et al. Cell 2021)。我々はRA患者で発症年齢によりTreg細胞が増加していることを見出しており、GPI誘導関節炎モデルでも高齢マウスで関節炎が増悪しTregが増加していた。また、高齢マウスにおいて、Treg細胞の割合が増加し、若年マウスではTregを欠損させることで関節炎が増悪するが、高齢マウスでは影響を受けず、Tregの抑制機能自体が低下していた。本研究では高齢発症RA病態におけるTregの加齢に伴う機能変化およびその原因を明らかにすること、及びその制御の回復に至る機構を明らかにすることを目的とし、今後もRA患者サンプル及び動物モデルを用いて研究を進める。マウスにおいては、関節炎極期のday14において鼠径リンパ節からCD4+T細胞を採取し、single cell RNA-seq (scRNA-seq)により若齢および高齢のGIAにおいて特徴的なクラスター変化および発現変動遺伝子(Differentially Expressed Genes ; DEG)を検出しており、TregクラスターにおけるDEGを抽出し、高齢GIA群で特徴的な遺伝子発現変化を明らかにする。
2: おおむね順調に進展している
ヒト、マウス両者の解析がある程度順調に進んできており、scRNSseqのデータも現在展開中で、令和5年度中の論文作成が可能であると考えられる。
高齢RA患者、及び高齢誘導関節炎モデルにおいて、T細胞の重要性が顕在化しており、特に制御性T細胞や、その細胞により制御される濾胞性T細胞を絡めて、注目される分子や経路を導き出し、in vivo, in vitro, in silicoで研究を展開していく予定である。
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Mod Rheumatol.
巻: in press ページ: in press
Rheumatology
巻: 62 ページ: e4-e6
Sci Rep
巻: 12 ページ: 21334
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