研究課題/領域番号 |
21H02967
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研究機関 | 修文大学 |
研究代表者 |
和知野 純一 修文大学, 医療科学部, 准教授 (00535651)
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研究分担者 |
黒崎 博雅 金城学院大学, 薬学部, 教授 (70234599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタロβ-ラクタマーゼ / カルバペネマーゼ / 競合阻害 / 阻害剤 / カルバペネム / 腸内細菌目細菌 |
研究実績の概要 |
本年度は新規阻害剤CX-1とカルバペネマーゼとの相互作用解析を行なった。メタロ型カルバペネマーゼの結晶を作製し、CX-1を含むリザーバー溶液に一定時間、結晶を浸潤することで、阻害剤-酵素複合体を得て、X線結晶構造解析に供した。1.5A分解能の回折データを解析し、CX-1において、阻害に不可欠な官能基をあきらかにすることができた。 次に、CX-1に類似した構造を有する市販化合物(以下、CX-1構造類似体)を入手し、それらの酵素阻害能をin vitroにて検証した。CX-1における阻害の核となる官能基を持たない構造類似体は、阻害効果を全く示さなかった。これらの結果はX線結晶構造解析の結果を裏づけるものであった。 さらに、CX-1阻害剤よりも強力な阻害剤を創出するため、CX-1-酵素複合体構造情報とin silico docking simulationを併用し、CX-1誘導体を複数デザインした。現在、鋭意、化学合成を進めており、本年度末時点で、1化合物の合成を完了している。誘導体については、順次、in vitroにおける酵素阻害能の検討を行う予定である。 本研究課題では、メタロ型カルバペネマーゼの他に、他の薬剤耐性タンパク質を標的とする阻害剤の開発を目指しているため、他の薬剤耐性タンパク質についても酵素および結晶を準備する必要があり、今年度は、新たに2つの薬剤耐性タンパク質について酵素精製法、結晶化条件の確立を行なった。結晶については、native体として1.5-2.0Å分解能の回折データを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り阻害剤CX-1とカルバペネマーゼとの結合様式をX線結晶構造解析によりあきらかにすることができた。この成果により、次年度以降の実験を円滑に進めることが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、本研究の基盤となるCX-1阻害剤をさらに改良、新たな阻害剤を複数創出し、実験に順次、供する予定である。当初、阻害剤創出のための有機合成は外部委託およびin houseを併用しながら行う予定であったが、新型コロナ感染症の発生によるロックダウン等により、外部委託先における合成作業が大幅に遅れる見込みとなっており、対応策として、外部委託先の変更を余儀なくされている。並行して、合成遅延をin houseでカバーができるよう準備を進めている。 今年度、研究代表者の所属先の変更があり、当初利用を予定していた実験機器が使えない状況になったため、当該機器を新たに調達し、研究環境の整備を行なった。このことにより、今年度の実験を当初計画通り進めることができた。次年度以降も、円滑に研究を推進できるものと考えている。
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