研究課題
本研究は、老化関連p53-lncRNAを同定し、内分泌臓器としての脂肪や血管において、老化に伴う機能変容におけるp53-lncRNAの役割とそのエピゲノム制御機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、近接依存性標識法APEX2システムを用いて、各オルガネラに局在するタンパク質の網羅的解析を行った。核やミトコンドリア、細胞質などオルガネラ局在モチーフを融合したAPEX2プラスミドから作成したレンチウイルスを293T細胞に感染させた後、ビオチンチラミドでプレカルチャー後、過酸化水素を用いたラジカル反応をAPEX2で触媒することでタンパク質をビオチン化標識した。その後、Streptavidinビーズでプルダウンして局在するタンパク質をLC-MS/MSにより網羅的に解析した結果、各オルガネラで2000個以上のタンパク質が同定された。lncRNAはmicroRNA(miRNA)スポンジとして機能することが知られている。そこで次に、がんと老化の接点となるmiRNAに着目した。がん抑制型miRNA、miR-874のがん抑制のメカニズムを解明する目的で、細胞小器官シグナルを融合したAPEX2を発現した大腸癌細胞株HCT116にmiR-874を導入し、同様の方法を用いてプルダウン、局在するタンパク質をLC-MS/MSにより網羅的に解析した。今後は、核局在シグナルを持ったAPEX2 vectorやp53とAPEX2を融合したAPEX2-p53タンパクを老化線維芽細胞や血管内皮、脂肪前駆細胞に発現させて、核内のp53-lncRNA複合体のコンポーネントを同定する予定である。また、ES細胞におけるp53-lncRNA複合体の解析も同時進行で進めており、幹細胞性と老化におけるp53-lncRNA複合体の役割とそのエピゲノム制御機構を明らかにしていく。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Biochemistry
巻: - ページ: -
10.1093/jb/mvae012
Communications Biology
巻: 6 ページ: -
10.1038/s42003-023-05160-y
Scientific Reports
巻: 13 ページ: -
10.1038/s41598-023-28706-w