研究課題/領域番号 |
21H02995
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
笹田 哲朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), がんワクチン・免疫センター, 部長 (70293967)
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研究分担者 |
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長代理 (30571434)
川村 猛 東京大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (70306835)
上田 宏生 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (70821916)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネオアンチゲン / オルガノイド / ペプチドミクス解析 / 遺伝子変異 / がん免疫治療 / HLA分子 |
研究実績の概要 |
がん細胞特異的な遺伝子変異に由来するネオアンチゲンは強い抗腫瘍免疫応答を誘導するが、効率的・網羅的に同定する方法は確立されていない。現在、我々はがん細胞表面のHLA分子に提示されたネオアンチゲンペプチドを最先端の質量分析(ペプチドミクス解析)技術を用いて腫瘍組織から直接同定する手法を開発中である。本研究では、微量の腫瘍組織しか採取できない進行がん患者に対する臨床応用を想定して、オルガノイドとして拡大培養した腫瘍組織のペプチドミクス解析により、HLA結合ネオアンチゲンを同定する手法を確立する計画である。本研究の成果は、“がんの免疫学的病態の解明”に寄与するとともに、“ネオアンチゲンを標的とした個別化がん免疫治療”の臨床開発を加速するものと期待される。 令和3年度には、① 胃がん(4例)および腎臓がん(2例)患者の手術摘出腫瘍検体からがん細胞塊を分離・回収し、オルガノイドとして拡大培養する系を確立した。② これらのうち3例のオルガノイド組織および同一患者の正常組織のエクソーム解析・RNA-Seq解析によりがん特異的な点突然変異を同定し、ペプチドミクス解析用データベースを構築した。③ nanoLC-MS/MSシステムを用いて、3例のオルガノイド組織から遊離、回収したHLA class I 結合ペプチドのスペクトルを得たのち、データベース検索(上記②で構築)することによりネオアンチゲンペプチド配列を同定した。④ 現在、同定したHLA-A24拘束性のネオアンチゲンペプチドをHLA-A24-tgマウスにワクチン投与して免疫原性を確認中である。 令和4年度には、引き続き胃がん・腎臓がんのオルガノイド組織のペプチドミクス解析によりHLA結合ネオアンチゲンの同定を進めるとともに、ネオアンチゲン特異的T細胞の抗腫瘍効果を検証する系を確立する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胃がん4例および腎がん2例の手術摘出腫瘍検体を用いてオルガノイドとして拡大培養する系を確立した。さらに、これらのうち3例のオルガノイド組織の遺伝子解析およびHLA結合ペプチドの質量分析計解析が終了し、ネオアンチゲンペプチド配列が同定されている。従って、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度には、引き続き胃がん・腎臓がんのオルガノイド組織のペプチドミクス解析によりHLA結合ネオアンチゲンの同定を進めるとともに、オルガノイド組織を用いてネオアンチゲン特異的T細胞の抗腫瘍効果をin vitro/in vivoで検証する系を確立する予定である。
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