CTCの測定は悪性腫瘍の予後予測や、抗がん剤の効果判定に有用である。薬剤選定のための薬剤感受性試験にはある程度の細胞数が必要となるため、CTCを培養する技術開発が必須となるが、現時点では培養に関して確立した方法がない。本研究の目的は、Ni/Pd合金の精密ろ過膜(Ni/Pd Filter)を用いてCTCを分離・培養する方法を確立することである。膵がん患者の術前末梢血5mLをNi/Pd Filterに通してCTCを補足し、EpCAM-PE/Hoechst33342/CD45-FITCで染色観察した。続いてこの細胞をNi/Pd Filterに捕捉した状態のまま4週間以上培養し、CTCの増殖の有無を確認した。今回の分離法により、前処理不要で全血のままCTCを捕捉できた。細胞毒性が少ない材質のフィルターのため、捕捉したCTCはそのまま長期間(約3ヶ月)の培養が可能であった。また、増殖した細胞は、Calcein-AM染色により生細胞であることを確認した。Ni/Pd Filterを使ったCTCの捕捉、及びFilter上でのCTCの直接培養に成功した。
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