本研究ではNi/Pd合金でできた精密ろ過膜(Ni/Pd Filter)によるCTC分離・培養法の確立をめざす。この方法はCTCが血球細胞より大きいことを利用した分離法であり、抗体によるセレクションが不要なため細胞へのダメージが少なく、分取後の培養に非常に有利である。 CTC補足方法:がん患者の血液5mLをPBS-EDTAで2倍希釈し、タンデムに繋いだ15μm-8μm NI/Pd filterに通した。流速はシリンジポンプを用いて50mL/hに固定した。同じ流速でPBS-EDTA 20mLでwashし、filterを取り出す。捕捉した細胞はfilterごと長期培養、またはすぐに捕捉した細胞の回収を行なった。 培養:取り出したfilterを培地(IMDM-B27-EGF-FGF-2%Matrigel)3mL / 35mm Dishで長期培養(3-10週間)した。 回収:細胞捕捉面を培地でピペッティングし、回収した細胞懸濁液を遠心して濃縮、1Cell Dish (iBiochips)に捲いて観察し、Hoechst(+)/EpCAM(+)/CD45(-)細胞の分取を試みた。Day0でsingle cellもしくは2細胞ほどのclusterが認められるケースも長期培養により増殖し、50μm以上のcolony様の細胞も確認できた。またDay0でEpCAM(+)細胞が確認できない例でも培養によってcluster/colony状に増殖する例もあった。 回収細胞の変異解析:1Cell Dishで回収した細胞はPicoPLEX Single Cell WGA Kitを用いてWhole genome amplificationを行った。このDNAをtemplateにしてddPCRを行い、遺伝子の変異有無を調べた。膵がん症例ではKRAS遺伝子に、肺がん症例ではEGFR遺伝子に変異を確認した。
|