肝繊維化には、星細胞の活性化が関わっているので、星細胞を活性化するため作成した星細胞をTGFβで刺激した。刺激後では、PNPLA3 SNPを持った星細胞(variant-iHSC)は、持たない星細胞(wild-iHSC)に比べ、活性化マーカーであるαSMA(ACTA2)やCOL1A1の発現量が有意に高値であった。活性化した星細胞は、増殖能、浸潤能が促進されることが報告されているので、iHSCについてそれらを比較した。Variant-iHSCは、TGFβにて刺激することで、その増殖能、浸潤能が有意に増加したが、Wild-iHSCは増殖能は有意差を認めなかった。星細胞の活性化し、肝線維化を発症する際には、星細胞のEMTが関わっていることが報告されていることより、iHSCのEMTについて評価した。Variant-iHSCは、TGFβで刺激することで、Vimentinの発現が有意に増加し、E-Cadherinが低下するしており、EMTが活性化していることがわかったが、Wild-iHSCでは、それらの遺伝子の発現に刺激前後で差を認めなかった。肝線維化を惹起するサイトカインであるPDGF-BBおよびTGFβ1のメディウム中の濃度を測定したところ、活性化したiPS-Steは非活性型と比較すると、その濃度が上昇し、Variant-iPS-Steの方が有意に高かった。 SNPの有無での星細胞の活性化の違いを比較するために、RNAシークエンスを行った。iHSCを作成後にTGFβで刺激し、活性化後にRNAシークエンスに提出した。遺伝子発現の差異を検討したところ、細胞外マトリックスや血管新生、線維化に関わる遺伝子の発現に比較的大きな違いを認めた。
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