研究課題/領域番号 |
21H03017
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
福嶌 五月 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (80596867)
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研究分担者 |
池田 善彦 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (30393242)
南 公人 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (90509811)
藤田 知之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部門長 (10457012)
生田 亜由美 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤医師 (50818424)
大谷 健太郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (50470191)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心筋炎 / 細胞移植 / 機械的補助循環 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「急性心筋炎において心筋内に局在する免疫細胞・炎症細胞のスペクトラムと心筋組織障害との関連を解明し、羊膜間葉系幹細胞(aMSC)移植による抗炎症型再生治療の可能性を探索する。」ことである。そのために、1)当施設において治療された劇症型心筋炎患者を抽出し、その組織像と臨床像の相関を検討する。2)ラット自己免疫性急性心筋炎モデルを作成し、ヒト羊膜間葉系幹細胞による治療効果を検証する。という二つの研究を遂行する。 本年度においては、まず2006年から2020年までに当施設にて治療された70例の劇症型心筋炎患者を抽出し、その診療内容を再検討した。その結果、45症例において開胸下の補助循環装着を受け、残り25例は末梢型の補助循環治療を受けた。前者の6例及び後者の1例は、治療開始後一か月以内に死亡したが、5年後生存率は両群間に統計学的有意差はなかった(前者71%対後者88%)。心筋傷害の強い症例では予後が悪いことが示唆された。 また、ブタミオシン注入による自己免疫性心筋炎モデルラットを用いて、ヒトaMSC-Dressing治療効果の検討を行った。Lewisラット8週齢に対して、ブタミオシンおよびアジュバントを合計3 mg皮下注射することで、急性心筋炎を誘導し、8週後の心エコー上、左室駆出率が60%以下に低下したラットを、以降の実験に用いた。全身麻酔・気管挿管を行い、左開胸、心膜切開下に、ヒトaMSCを浸漬した多層性フィブリンフィルム(1cm2)を左心室表面に貼付した(n=4)。対照群としてフィブリンフィルムのみの貼付する群(n=4)、無治療群(n=3)を作成した。結果、治療4週後に、aMSC投与群においては心エコー上、(左室駆出率、左室容量)が正常にまで回復したのに対して、他のフィブリンフィルムのみの群、無治療群では心機能に変化は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、「急性心筋炎において心筋内に局在する免疫細胞・炎症細胞のスペクトラムと心筋組織障害との関連を解明し、羊膜間葉系幹細胞(aMSC)移植による抗炎症型再生治療の可能性を探索する。」ことである。そのために、1)当施設において治療された劇症型心筋炎患者を抽出し、その組織像と臨床像の相関を検討する。2)ラット自己免疫性急性心筋炎モデルを作成し、ヒト羊膜間葉系幹細胞による治療効果を検証する。という二つの研究を遂行する。 まず、1)については、70例の心筋炎の治療成績を検証し纏めることで、専門雑誌に原著論文として公表された。2)については、モデルの作成に成功し、aMSCの治療効果を心エコーにて確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)当施設において治療された劇症型心筋炎患者を抽出し、その組織像と臨床像の相関を検討するために、抽出された70例の病理ブロックを再検討する。HE染色やMassonTrichrome染色による検討を行う。 2)ラット自己免疫性急性心筋炎モデルを作成し、ヒト羊膜間葉系幹細胞による治療効果を検証するために、ラットの数を増量し、心機能評価の精度を高めるとともに、治療効果のメカニズムを検証するために、免疫組織学的検討や分子生物学的検討を行う。
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