研究課題
本研究では、「急性心筋炎において心筋内に局在する免疫細胞・炎症細胞のスペクトラムと心筋組織障害との関連を解明し、羊膜由来間葉系幹細胞移植による抗炎症型再生治療の可能性を探索する。」ことを目的として、1)国立循環器病研究センターにおいて急性心筋炎に対する外科的治療を行った症例の検討、2)急性心筋炎ラットモデルを用いたヒト羊膜間葉系幹細胞移植による治療効果の検討、を行った。まず、当施設において2006年~2020年に劇症型心筋炎に対して対外設置型補助人工心臓治療を実施した70症例の臨床経過と病理検査結果の関連を検討したところ、心筋傷害の程度と予後との間に相関を見出した。この結果をもとに、体外設置型補助人工心臓の装着方法を最適化する手法を開発し、治療成績の向上に貢献した。さらに本研究期間中に経験したCOVID19関連心筋傷害と、劇症型心筋炎との臨床経過と病理所見の違いを見出した。また、ブタミオシンおよび免疫アジュバントを注入することで、心筋に炎症細胞が浸潤し心機能の低下がみられる自己免疫性急性心筋炎ラットモデルを作成することに成功した。このモデルを用いて、開胸下にヒト羊膜由来間葉系幹細胞を心外膜に移植したところ、炎症反応の軽減とともに心機能の回復が見られ、本細胞治療の抗炎症効果が示唆された。以上、急性心筋炎患者の経過と動物モデルを用いた検討から、急性心筋炎に対する細胞移植治療の可能性を見出すことができた。今後、このデータをもとに非臨床試験を進め臨床応用したいと考えている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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