研究実績の概要 |
悪性神経膠腫の新しい治療開発の標的として、腫瘍微小環境が重要である。しかしその微小環境は、個々の患者により大きく異なり、また免疫応答が多大なる影響を及ぼすため、実験系で再現することは極めて困難である。 そこで、本研究では、個々の患者の実際の摘出悪性神経膠腫組織の微小環境の可視化を目指す。すなわち、本研究は、術前に、7T-MRI詳細画像法を用いて、個々の脳腫瘍の微小構造の描出し、摘出脳組織を、術後にCUBIC法にて透明化した上で、腫瘍微小環境を3次元的に可視化し、病理学的に詳細解析する、新規治療法の開発を目指した、世界初、かつ実現可能な腫瘍微小環境の3次元可視化プロジェクトである。 悪性神経膠腫患者において悪性度や病理診断を予測し、微小環境を可視化するのに最適な7T-SWIの撮像法、後処理の方法を確立し、論文報告した(Natsumeda, Kakita, Igarashi, Fujii, et al. AJNR, 2022)。また、CUBIC法を用いた悪性神経膠腫組織透明化の方法も確立し、微小環境の免疫染色に成功した。
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