研究課題/領域番号 |
21H03048
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374368)
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研究分担者 |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
津田 真寿美 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / シグレック15 / 免疫チェックポイント / 末梢性免疫寛容誘導 / がん免疫 / 自己免疫性関節炎 / がん溶骨性骨転移 / 慢性骨髄炎 |
研究実績の概要 |
初年度は主に破骨細胞膜上のシグレック-15によるT細胞活性抑制効果の検証を中心におこなった。野生型マウス由来骨髄マクロファージから分化させたシグレック15を高発現する破骨細胞またはシグレック-15遺伝子欠損マウス由来骨髄マクロファージからII型コラーゲンコートディッシュ上で培養したシグレック15発現のない破骨細胞を用いてT-cellとの相互作用実験を行った。マウスシグレック-15発現破骨細胞または非発現破骨細胞と細胞透過性色素CFDA-SEで蛍光染色したCD4+T (Th1, Th17)、CD8+T細胞を共培養したところ、T細胞の細胞増殖性には明らかな差は生じなかったものの、シグレック-15発現破骨細胞はT-cellからのサイトカイン(IFNγ, IL-17, IL-22)分泌量を減少させることがわかった。 ヒト末梢血単球由来破骨細胞共培養系とヒトT-cellについても同様の実験を行い、破骨細胞由来のシグレック15はT細胞増殖性には明らかな変化を与えないが、T-cellからのサイトカイン分泌量を減少させ活性を抑制することを確認した。ヒト由来破骨細胞ではシグレック15遺伝子をノックダウンした細胞(単核破骨細胞)を用いた。 2年目の目標であるin vivoでの検証の準備として、転移性骨がんのモデルはマウス乳癌細胞株E0771およびルイス肺がん由来細胞株を免疫不全マウス、野生型マウスおよびシグレック15遺伝子欠損マウスに尾動脈経由で移植するモデルを作成中であり、免疫不全マウス以外ではモデルの最適化を行なっているところである。また、野生型マウスとシグレック15遺伝子欠損マウスを用いて、アジュバント誘導関節炎をモデルを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度目標としていてた破骨細胞に発現するシグレック15とT-cellの相互作用の調査については、マウス細胞を用いた実験で細胞増殖には影響を与えないものの、T-cell活性を抑制することをin vitroで確認することができた。ヒト末梢血由来細胞でも同様の結果が得られており、T-cell活性を破骨細胞が抑制する可能性があることが示された。さらにこの事実を支持する結果を得るためにとNFk-B reporter (Luc)-Jurkat細胞のルシフェラーゼレポーター細胞活性を測定する準備を行なっているが、おおむね仮説が証明され順調に推移している。 2年目の目標であるin vivoで破骨細胞による局所免疫抑制効果があるかどうかを検証する準備として、関節炎モデルと転移性骨がんモデルの作成に着手している。関節炎モデルについては予定どおり推移している。転移性骨がんモデルについては野生型マウスで骨転移発症が安定せず、細胞株の選定などの工夫を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、初年度に引き続いて破骨細胞に発現するシグレック15によるT-cell活性抑制効果の検証を行い、in vitroでの結論を得る。さらにヒト骨髄炎や溶骨性骨転移病理組織標本を用いて破骨細胞やそれに発現するシグレック-15の分布とリンパ球浸潤やそのサブセット(CD4+T [Th1,Th17]、CD8+Tなど)を検討する。 関節炎モデルについてはシグレック-15遺伝子欠損マウスまたは野生型マウスを用いてアジュバント誘導関節炎を作成し、免疫組織学的検討およびフローサイトメトリーで罹患骨の骨髄中CD4+T (Th1, Th17)、CD8+T細胞の割合を比較します。 転移性骨がんモデルについては免疫不全マウスでは尾動脈播種モデルで骨転移がおきることを確認しているが、野生型マウスで骨転移発生が安定して起きていない。より骨転移を起こしやすい細胞の選定などを行い、野生型マウスとシグレック15遺伝子欠損マウスで転移性骨がん局所での免疫抑制作用について検討することを目指す。
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