研究課題
関節リウマチは関節を構成する滑膜に慢性炎症が生じ,進行すると関節軟骨や骨が破壊されることで関節の変形や機能障害が生じる自己免疫疾患である。未だ,発症原因は明らかになっていないものの,抗リウマチ薬や生物学的製剤の登場で,数多くの患者で臨床症状・徴候が消失する臨床的寛解への到達が可能となるケースが増えてきた。しかし,これら治療においては呼吸器感染症や敗血症などのリスクが高く,休薬によって再燃することからも,未だ課題が残されている。さらに,たとえ全身の炎症が抑えられても,滑膜炎によって関節破壊が進行する患者は数多く,関節破壊の制御に向けて,新たな病態解明とそれに基づいた治療戦略の開発が期待されている。本研究では,関節リウマチにおける滑膜病変に,滑膜線維芽細胞のうち細胞老化因子の発現を上昇させた老化滑膜線維芽細胞が存在し,老化滑膜線維芽細胞を中心とした微小環境「老化細胞ニッチ」を形成することで,慢性炎症が引き起こされると仮説を立て検証を行った。実施方法は,関節リウマチ患者滑膜の公共データを用いて単一細胞解析を実施し,また関節リウマチ患者滑膜を採取して,老化線維芽細胞が形成する増殖性の高い滑膜線維芽細胞や他の免疫細胞などとの細胞間コミュニケーション(リガンド-レセプター解析)を解析した。また,関節リウマチモデルマウスを作成し,関節滑膜に存在する老化線維芽細胞について周辺細胞における細胞増殖,アポトーシス抵抗性,免疫回避性,関節破壊に関連する遺伝子発現ならびにタンパク質発現レベルの評価を実施することで,関節リウマチの滑膜に存在する老化線維芽細胞との特徴を明らかにした。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Physiology
巻: 15 ページ: 1344116
10.3389/fphys.2024.1344116
Immunity & Ageing
巻: 20 ページ: 72
10.1186/s12979-023-00400-5