研究課題
本研究においては、膝関節の力学的負荷を軽減させる手術である高位脛骨骨切り術(HTO)前後の組織を解析することにより、力学的負荷による変形性関節症の進行とその抑制に最も寄与する生体内の因子(群)について解析することを目的とする。40名から研究参加に同意を得た。36名からHTO施行時および1年後のプレート抜去手術時に滑膜組織、血液、関節液を採取することができた。初期の3検体のHTO前、プレート抜去時のサンプルを用いてマイクロアレイ解析を行い、HTO後に有意に減少した遺伝子は炎症に関連したGene Ontology termや炎症関連のpathwayが検出された。Real-time PCRでの遺伝子発現ではHTO後に炎症性サイトカインの低下、 M2マクロファージ関連遺伝子の増加を認めた。滑膜組織染色においてHTO後に滑膜炎症スコアは有意に改善し、 免疫蛍光染色ではM1マクロファージが減少し、M2マクロファージが増加した。関節液内の性状を術前後に比較すると、関節液中の軟骨微小フラグメントが有意に減少した。メカニズムを解明するために、末梢血単核細胞から誘導したヒトプライマリーマクロファージを軟骨微小フラグメントで刺激すると、炎症性サイトカインの上昇が見られ、マクロファージのM1極性化が観察された。このとこから、HTOによりアライメントが適正化され、軟骨微小フラグメントが減少し、滑膜マクロファージ内での炎症の抑制やマクロファージ極性の変化が生じていると考えられた。手術成績との対比では、内反アライメント残存の程度とIL1B, IL6の発現に正の相関がみられ、関節内炎症の残存が示された。手術目標に対する解析としてROC曲線を用いた解析を行い、術後の機能軸が膝関節内側から53%を越えることが、術後に関節内炎症が改善するためのアライメントのカットオフ値であることが示された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy
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