研究課題/領域番号 |
21H03056
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
今村 健志 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70264421)
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研究分担者 |
川上 良介 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (40508818)
齋藤 卓 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60588705)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イメージング技術 / 一細胞解析 / 変形性関節症 / 線維化 |
研究実績の概要 |
本研究では、変形性関節症(OA)の線維軟骨形成について、慢性炎症のキープロセスである線維化(fibrosis)の視点でアプローチし、革新的イメージング技術を駆使した細胞動態解析によって、線維芽細胞の起源としてCAR(CXCL12-abundant reticular)細胞、線維化を増長する悪玉線維芽細胞としてTHY1陽性細胞の関与を明らかにする。さらに、一細胞解析を用いた遺伝子発現プロファイルによって、線維化に関わる多様な細胞の新たなサブタイプを同定し、その制御に関わる細胞間ネットワークを明らかにする。 in vivoの細胞動態実験については、特殊なウインドウを開発し、マウスに移植したオルガノイド細胞を長期間観察する実験系を確立した。I型コラーゲンプロモーター支配下に緑色蛍光タンパク質(GFP)が発現するマウス(ColI-GFPマウス)、橙色蛍光タンパク質(Kusabira-Orange; KO)をCXCL12 locusにノックインしたマウス(CAR-Orangeマウス)とTHY1プロモーター支配下に黄色蛍光タンパク質(YFP)が発現するマウス(H-lineマウス)については、それぞれ全身での発現解析を進めた。OA手術については、術後の2光子励起蛍光顕微鏡を用いた生体イメージングの問題点解決を諮ったが、関節腔が狭く、対物レンズの挿入が困難で、関節面の一部しか観察できなかった。SHGによるコラーゲンイメージングについては偏光方向イメージングでシグナル強度の変化を定量化した。組織透明化については、透明化の効果が弱かったLUCID法に比べCUBIC-L/R法では十分な透明化効果があることがわかった。さらに前年度に引き続き2光子励起ライトシート顕微鏡を用いた高精細3Dイメージングシステム構築を進めた。一細胞解析のための準備については、細胞分離と解析の条件設定をさらに進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoの細胞動態実験については、特殊なウインドウを開発し、マウスに移植したオルガノイド細胞を長期間観察する実験系を確立した。昨年度に引き続き、イメージング用の4種類のマウス、I型コラーゲンプロモーター支配下に緑色蛍光タンパク質(GFP)が発現するマウス(ColI-GFPマウス)、橙色蛍光タンパク質(Kusabira-Orange; KO)をCXCL12 locusにノックインしたマウス(CAR-Orangeマウス)とTHY1プロモーター支配下に黄色蛍光タンパク質(YFP)が発現するマウス(H-lineマウス)それぞれ全身での発現を解析できたので、おおむね順調に進展している。OA手術を施行については、術後の2光子励起蛍光顕微鏡を用いた生体イメージングが困難である問題が生じており、靭帯切除等手術方法の改良を行なったが、関節面の一部しか観察できないので、次年度に引き続き研究を進める。SHGによるコラーゲンイメージングについては偏光方向イメージングでの定量化が、おおむね順調に進展した。組織透明化については、LUCID法に比べCUBIC-L/R法では十分な透明化効果があることがわかった。さらに前年度に引き続き2光子励起ライトシート顕微鏡を用いた高精細3Dイメージングシステム構築を進めた。一細胞解析のための準備については、細胞分離と解析の条件設定をさらに進めた。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoの細胞動態実験については、イメージング用の4種類のマウスについて、全身での発現解析が概ね完了したので、骨・軟骨での詳細な発現解析を行う。OA手術については、前年度で明らかになった問題点の改善を行い、靭帯切除に加え、関節包切開などの工夫を加え、術後の2光子励起蛍光顕微鏡を用いた生体イメージングの条件を検討する。SHGによるコラーゲンイメージングについては、前年度の直線偏光方向イメージングに加え、径偏光方向イメージングで定量化を試みる。組織透明化については、前年度で明らかになった、LUCID法に比べたCUBIC-L/R法では十分な透明化効果を踏まえ、骨・軟骨に特化したCUBIC-B法の条件設定を進める。2光子励起ライトシート顕微鏡を用いた高精細3Dイメージングシステムについては実際の骨・軟骨でのイメージングをさらに進める。前年度に引き続き、一細胞解析のための準備、特に細胞分離と解析の条件設定を進める。
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