研究課題/領域番号 |
21H03074
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
織田 克利 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30359608)
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研究分担者 |
長谷川 幸清 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30534193)
田口 歩 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60756782)
谷川 道洋 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (70706944)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オルガノイド / がん遺伝子パネル検査 / 全エクソンシークエンス / RNAシークエンス / 子宮頸癌 / 卵巣癌 |
研究実績の概要 |
【目的】2021年度は(1)婦人科がんにおいて、オルガノイド培養株を樹立し、ゲノムプロファイリングや薬剤感受性試験を行う、(2)本学独自のがん遺伝子パネル検査Todai OncoPanelの性能評価、(3)TOPの婦人科がんにおける有用性の検証を行うことを研究目的とした。 【方法】(1)婦人科がんの手術摘出検体においてオルガノイド培養系を行い、長期培養が可能であった子宮頚部小細胞癌において、全エクソンシークエンス解析、RNA-Sequenceを行った。(2)卵巣がんなどの各種固形がん23例について、DNAとRNAのTwin panelであるTodai OncoPanel(TOP)の解析結果(従来版TOP1と改良版TOP2)、全エクソンシークエンス結果と比較し、遺伝子変異頻度(TMB: Tumor Mutational Burden)の評価精度を検証した。(3)TOP1先進医療B実施200例について、婦人科がん症例の変異プロファイルを検討した。 【成績】(1)子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌の各検体においてオルガノイドの短期的な培養系を確立した。このうち子宮頚部小細胞癌症例において、オルガノイドを用いたゲノム解析が可能であり、薬剤感受性の準備を進めた。(2)TMBの評価において、TOP2において全エクソンシークエンス結果とより相関が高い結果が得られ、論文投稿準備に進んだ。(3)TOP1先進医療B実施61例につき、卵巣癌、子宮体癌、子宮頸癌のそれぞれについて組織型とGenotypeの関連性をまとめ、学会で報告を行った。 【結論】オルガノイド培養系を樹立し、マルチオミクス解析データと薬剤感受性の統合に向けた準備を進めた。TOP2における性能の向上を確認するとともに、婦人科がんにおけるTOPの有用性を明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究体制の変更に伴い、オルガノイド培養実験の、検証の追加実施や薬剤感受性試験の実施時期がやや遅れたものの、さまざまなゲノム解析(マルチオミクス解析)や独自のがん遺伝子パネル検査(Todai OncoPanel)の解析や性能の検証等を着実に進めることができ、プレシジョンメディシンの基盤となるデータを得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初は卵巣癌を中心にオルガノイド培養系による薬剤感受性試験を検討していたが、子宮頸癌、子宮体癌において免疫チェックポイント阻害剤の臨床実装が進んでおり、プレシジョンメディシンのニーズが高まっている。そのため、オルガノイド実験系においては、がん種にとらわれず婦人科がん全体を対象とする予定である。また、卵巣癌におけるプレシジョンメディシンの開発には、既存の抗がん剤(特にプラチナ製剤)、PARP阻害薬に抵抗性の症例の治療法開発が喫緊の課題となっており、細胞株を用いた新規治療標的探索、併用療法の探索も研究テーマに加えることを計画中である。
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