研究実績の概要 |
本研究では正常子宮内膜腺上皮細胞に存在する癌遺伝子の変異を同定し、その生物学的な意義、役割について明らかにすることである。2022年度は手術で摘出した子宮(良性の筋腫など)から子宮内膜腺上皮細胞を回収、分離、純化し、K-ras, PIK3CAについてSanger法で解析し、その頻度と内膜における分布について明らかにした。また一部の子宮内膜腺上皮はspheroid培養に供し、増殖したspheroidを回収して遺伝子変異解析を行ったところ、同定された遺伝子変異は全てPIK3CA変異であった。spheroid培養では幹細胞的性格を有する細胞が優先的に増殖することが知られており、以上の結果から、子宮内膜腺上皮細胞の幹細胞にPIK3CA変異が入り、内膜腺上皮細胞のspheroid形成に重要な働きをしている可能性が示唆された。この結果が、内膜の再生や癌化にどのような意義を有するのかを次年度以降に検討する予定である。
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