研究課題/領域番号 |
21H03089
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (70159614)
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研究分担者 |
美野輪 治 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (00181967)
神谷 和作 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10374159)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝子難聴 / 内耳AAVゲノム / ips由来疾患モデル細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、独自開発の改変型AAVベクターとiPS由来疾患モデル細胞(特許出願済)を用いた遺伝性難聴への内耳AAVゲノム編集技治療法の開発研究である。標的 とするのは遺伝性難聴最大の原因遺伝子GJB2(コネキシン26)の遺伝子変異であり、変異ゲノムの修復による根本的治療法を開発する。これまで分化誘導法の改良によりiPS細胞からCX26およびCX30によるギャップ結合を形成する内耳細胞シートを開発し(Human Molecular Genetics, 2021)、更なる条件検討によりギャップ結合複合体を形成する高分化型の細胞シートを作製した。また、マウス内耳ゲノム編集用AAVベクターの作製を 行い、蝸牛上皮全般に遺伝子導入が可能な内耳細胞用カプシド改変型AAVベクターを特許出願した(特願2021-198101)。同ベクターによりCRISPR/Cas技術でのゲ ノム編集用ベクターの設計を行った。これまでにガイド(g)RNA、Cas9 (CRISPR associated protein 9)、変異修復用ドナーDNA (ssODN: single-strand oligo deoxy nucleaotides)によるゲノム編集ツールおよびABE(Adenine Base Editor)を用いたゲノム編集ツールを各々設計し、独自開発のAAVに搭載した遺伝子導入用 ベクターを作製した。これらをマウス内耳へ遺伝子導入するための投与法の技術開発を行った。新規AAV開発では蝸牛支持細胞への感染特異性の高い改変型カプシドを選抜し、さらにプロモーター改良により同細胞での発現特異性を向上させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度にカプシド改変型AAVの特許出願が完了し、2022年度は特許明細への実施例追加のためのデータ収集を行った。新規開発したベクターやプロモーター用いたゲノム編集ツールを搭載したベクター作成も行った。マウス内耳への投与法検討も投与時期や投与手術の調整等を行い順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は変異導入トランスジェニックマウスの開発を優先的に行い、それらの聴力改善を目指したゲノム編集技術の開発を目指す。独自開発したAAVベクターを用いた最適なゲノム編集ツールを選抜 し、これによる変異ゲノムの修復によりこれまで皆無であった遺伝性難聴のゲノム編集治療の実用化を目指す。の根本的治療法を開発 することを目的とする。
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